佳澄とは幼い頃からずっと一緒で、何でも話せる一番の親友だった。征司は私に一目惚れし、私が振り向くまで2年かけて、ずっと想いを伝えてくれた。それから8年付き合い、私たちは結婚した。佳澄も征司も、私が心から信じていた大切な人だった。だから、そんな2人が揃って私を裏切っていたなんて、すぐには信じられなかった。けれど、知らないアカウントから届くメッセージは途切れなかった。【征司の書斎にある金庫、暗証番号は私の誕生日なの。中の日記にも、私のことばかり書いてあるよ】半信半疑のまま書斎へ行き、言われた通り金庫を開けた。中にあった日記を手に取り、ページをめくった。――どこを開いても、書かれているのは佳澄の名前ばかりだった。何度も何度も見ているうちに、しまいには「佳澄」という字までおかしく見えてきた。信じられないままページをめくっていくと、私のことが出てきたのは、たった1度だけだった。【冬香と出会わなければよかった。そうすれば佳澄も、俺たちの息子も、こんな思いをせずに済んだのに……】それなのに、プロポーズの日、征司は私の前で片膝をつき、私と出会えたのが人生で一番の幸運だとまで言っていた。あの日のプロポーズを思い出した途端、もう読んでいられなくなって、日記を閉じた。その直後、またメッセージが届いた。【引き出しにある登記書類、あれは征司がうちの子を通わせたい学校の学区内に買ってくれたマンションのものよ】今度こそ嘘であってほしかった。けれど、引き出しには本当にそのマンションの登記書類が入っていた。都心のマンションで、頭金だけでも6000万円はくだらなかった。しかも、そのマンションを買った頃、征司は私には子どもを育てる余裕なんてないと言って、中絶を迫っていた。【おばあちゃんの通夜で、泣き疲れて眠っちゃった夜、覚えてる?あの夜、私、眠ってるあなたの目の前で征司と寝たの。あの子ができたのも、その夜よ】【毒ヘビに噛まれたとき、怖くて私と征司に助けを求めたよね?】【でも私たち、流星群を見逃したくなくて……あなたを助けに行かなかったの】メッセージが届くたびに息が詰まった。あまりにひどい話ばかりで、現実のこととは思えなかった。まるで悪い夢の中にいるようだった。それでも、まだどこかで全部嘘だと信じたかった。
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