Tous les chapitres de : Chapitre 11

11

第11話

その後、両親は半月ほどロンドンに滞在した。二人は毎日のように会社の前まで来ていたが、もう私を呼び止めることはなかった。雨の日には、父が傘を差して通りの向こう側に立っていた。私が同僚たちと笑いながら話しているのを見ると、何度かこちらへ歩き出そうとして、結局その場に立ち止まった。二人もようやくわかったのだ。償うというのは、もう一度私の人生に踏み込んで、今さら差し出した愛情を受け取れと迫ることではない。母は十数通の手紙を、会社の受付に預けていった。そこには、かつて母が見過ごしてきた小さな出来事が、いくつも綴られていた。家に戻ってから、アルバムを片っ端から見返したという。そこで初めて気づいた。高校生になってからの私には、一人で写っている写真が一枚もなかったことに。家族で写真を撮るたび、カメラを持って両親と美咲を撮っていたのは、いつも私だったから。どの手紙にも、許してほしいとは一言も書かれていなかった。ただ、何度も同じ言葉が綴られていた。【初音、ごめんなさい】父は仕事を辞め、カウンセリングを受けるようになった。私を突き飛ばしたあの手は、その後もずっと父を苦しめ続けた。カウンセリングの中で、父はこう認めたという。あの「冗談」が私を傷つけることくらい、本当はずっと前からわかっていた。けれど、周りがみんな笑っているのを見ているうちに、私一人の気持ちくらい犠牲にしても構わないと思うようになっていた、と。そして最後には、まだ生まれてもいなかったあの子まで、その犠牲になった。そこで初めて父は、取り返しのつかない傷があることを知ったのだ。二人は老後のために用意していた家を売り、そのお金を賠償として私に振り込んできた。私はそのまま送り返した。二人が私に返すべきものは、最初からお金ではなかった。それに私はもう、二人がどれほど後悔しているかで、自分が愛される価値のある人間だったと確かめる必要もなかった。両親がロンドンを離れる日、母は遠くから長いこと私を見つめていた。飛行機が離陸する前、最後のメッセージが届いた。【もう「家に帰ってきて」なんて言わない。初音がいる場所が、初音の家だから】私は返事をしなかった。けれど、そのメッセージを消すこともしなかった。帰国したあと、両親は美咲をもう娘のように扱うことはなかった。それ
Read More
Dernier
12
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status