電話が切れた、その直後だった。突然、空港内にアナウンスが流れた。台風の影響により、全便欠航が決まったという。見ると、ファストトラックから湊と美咲、それに両親が歩み出てくるところだった。白ヶ島行きの便も欠航になったようだ。私がウェディングドレスを抱えているのを見るなり、美咲はお腹を抱えて笑い出した。「本当にウェディングドレス抱えて空港まで来たの?初音ちゃん、相変わらずからかいがいがあるなぁ」両親まで一緒になって笑っている。朝4時から待ち続け、ドレスを抱えて式場と空港を走り回った。そんな私の姿も、この人たちには、ただの笑いの種でしかないらしい。すると、美咲がふいに自分のお腹を撫で、意味ありげな顔で私に近づいてきた。「実はね、どうしても結婚式を一週間延期しなきゃいけないのには、もう一つ理由があるの。私、湊の子を妊娠したんだ」さっと血の気が引き、頭の中でけたたましい耳鳴りが爆発する。美咲は笑顔のまま続ける。「もうすぐ3ヶ月になるよ」私は反射的に湊を見る。湊は否定もせず、ただ平然とその場に立っていた。母はため息さえついた。「もうこうなってしまった以上、美咲ちゃんを責めても仕方ないでしょ。ましてや、子どもには何の罪もないんだから」耳鳴りがする。私はぎゅっと拳を握り締めた。指先の震えが止まらない。「じゃあ、結婚式をドタキャンしたのは、二人を結婚させるためなの?」一瞬、辺りが静まり返った。次の瞬間、美咲が吹き出した。湊も呆れたように口元を緩める。両親まで腹を抱えて笑い出した。「まさかまた信じちゃったの?」美咲は私の肩を叩きながら、涙が出るほど笑っている。「私、彼氏すらいないんだよ!誰の子を妊娠するのよ?初音ちゃん、今にも倒れそうな顔してる。面白すぎ」湊は手を伸ばし、美咲の額を軽く小突いた。「そういう冗談で、いつも初音をからかうなよ」一瞬だけ、胸の奥に淡い期待が浮かんだ。けれど次の瞬間、湊は眉をひそめて私を見る。「初音もだよ。美咲が冗談好きなの知ってるだろ。なんで毎回本気にするんだ?」母も面倒くさそうに手を振った。「そんな顔して、どういうつもり?昔から冗談が通じないね。みんな楽しくしてるのに、そんな顔されたら、まるでこっちが初音をいじめて
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