少し散歩してから帰りましょうと菜々ちゃんに提案され、私たちはかき氷屋を出て浜辺に向かう。夏の日に照らされた砂浜は靴を介してもなお熱く、私も菜々ちゃんも驚き、顔を見合わせて笑いあった。 波の音も、モダンな水着を着て楽しむ見知らぬ家族や友人たちの声も、海鳥の鳴き声も心地良い。開放感に自然と心も明るくなる。 ――でも。先生は、海より山って感じがするわね。 想像して、また考えていると気づく。余計な思考を振り払うように、私は波に近づいてそっと手を伸ばした。海水は想定していたよりも冷たかった。慌てて手を引っ込めると、隣で菜々ちゃんがハンケチを差し出しながらクスクスと笑っている。「ふふ、美羽って案外子供っぽいわよね」「……別にいいじゃない、ちょっとくらい」「ええ。あたしはどんな美羽でも大好きよ」「菜々ちゃん、私をからかってるでしょう」「あら、本気だわ」「え」 あっけらかんと言う菜々ちゃんの顔を見れば、やはりニヤニヤと楽しそうにしていた。「もう!」 私は海水を掬って菜々ちゃんのほうへ放つ。水滴と菜々ちゃんの笑顔が弾けるようにきらめいた。「あっ! やったわね! こら!」 菜々ちゃんが仕返しとばかりに私へ水をかける。水しぶきが火照った体を冷まして気持ちが良い。 私たちはそれから、近くで遊んでいた子供たちに「お姉ちゃんたち、なにしてるの?」と聞かれるまでしばらく猫や犬と戯れるような水遊びを楽しんだ。 着ていた服が濡れ、肌に張り付く。明らかにやりすぎだ。
Última actualización : 2026-10-07 Leer más