「アルベラ、異能の副作用について国民に公表する予定はない。民は王家にとって我が子のようなものだ。子に心配掛ける親ではありたくないだろう」 まるで幼い子に言い聞かすようなルーカスの喋り方にアルベラの中の何かが切れた。(貴方の子は私とお兄様でしょ!?)「国王陛下、私はこれより国民に幻影の異能により真実を伝えます。真実も知らず甘えるだけの国民のお世話などしたくありませんわ」 既に今朝、城門の前に集まった民衆には異能を使っている。 話に聞いてた通り、幻影の異能の有効範囲は広い。 しかし、二度使っただけで、目眩と吐き気が酷かった。(お兄様は何百回、いや何千回も異能を使ったのよ!!)「ならぬ!」「では、医療の発展の停滞を理由に回復の異能の解放を停止してください」 ルーカスは素直で可愛いアルベラを溺愛して、賢過ぎて冷めたようなオリバーを煙たく思っていた。 王国の中で絶対権力者であるはずの自分を息子のオリバーだけが崇めず冷静に見定めている。 そして、今、愛しいアルベラの中に生意気な息子を見て、思わずルーカスは彼女に手を挙げてしまった。 パアンッ! 乾いた音が響き渡る。 アルベラは衝撃のあまり肩は小刻みに震えていたが、視線は決して揺れない。「国王陛下、私を殴り、腕を折り、傷だらけにしてください。それでも、私はオリバー王子の力を求めず、添木を当て包帯を巻いて骨折を治します。そうすれば、皆思い出します。傷は奇跡のような力を借りずに、自分で治せるものだと」「⋯⋯アルベラ」 アルベラを引っ叩いてしまった事にルーカス自身が動揺しているのに、彼女はもっと自分を攻撃しろと言ってくる。 ルーカスはその場で目を閉じて、アルベラに背を向けた。 その背中からは、王家としてではなく、一人の父としての葛藤がにじむ。 やがて、低い息を吐き、ルーカスは静かに告げた。「本日を持って、王家の異能の解放は停止する。早めに公式発表するから、もう下がりなさい」「ご判断に感謝致します。国王陛下」
Última actualización : 2026-10-11 Leer más