Todos los capítulos de 身分を隠した傷だらけ元王女は皇帝の溺愛に気付かず、今日も無意識にざまぁする。: Capítulo 21 - Capítulo 30

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21.告白

「アルベラ、異能の副作用について国民に公表する予定はない。民は王家にとって我が子のようなものだ。子に心配掛ける親ではありたくないだろう」 まるで幼い子に言い聞かすようなルーカスの喋り方にアルベラの中の何かが切れた。(貴方の子は私とお兄様でしょ!?)「国王陛下、私はこれより国民に幻影の異能により真実を伝えます。真実も知らず甘えるだけの国民のお世話などしたくありませんわ」 既に今朝、城門の前に集まった民衆には異能を使っている。 話に聞いてた通り、幻影の異能の有効範囲は広い。 しかし、二度使っただけで、目眩と吐き気が酷かった。(お兄様は何百回、いや何千回も異能を使ったのよ!!)「ならぬ!」「では、医療の発展の停滞を理由に回復の異能の解放を停止してください」 ルーカスは素直で可愛いアルベラを溺愛して、賢過ぎて冷めたようなオリバーを煙たく思っていた。 王国の中で絶対権力者であるはずの自分を息子のオリバーだけが崇めず冷静に見定めている。 そして、今、愛しいアルベラの中に生意気な息子を見て、思わずルーカスは彼女に手を挙げてしまった。 パアンッ! 乾いた音が響き渡る。 アルベラは衝撃のあまり肩は小刻みに震えていたが、視線は決して揺れない。「国王陛下、私を殴り、腕を折り、傷だらけにしてください。それでも、私はオリバー王子の力を求めず、添木を当て包帯を巻いて骨折を治します。そうすれば、皆思い出します。傷は奇跡のような力を借りずに、自分で治せるものだと」「⋯⋯アルベラ」 アルベラを引っ叩いてしまった事にルーカス自身が動揺しているのに、彼女はもっと自分を攻撃しろと言ってくる。 ルーカスはその場で目を閉じて、アルベラに背を向けた。 その背中からは、王家としてではなく、一人の父としての葛藤がにじむ。 やがて、低い息を吐き、ルーカスは静かに告げた。「本日を持って、王家の異能の解放は停止する。早めに公式発表するから、もう下がりなさい」「ご判断に感謝致します。国王陛下」
last updateÚltima actualización : 2026-10-11
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22.王女のプライド

「申し訳ございません。聞かなかった事にします。国王陛下から、簡単な護身術をお教えするよう申し使ってます。お時間はいつが宜しいでしょうか?」 アルベラは動揺のあまり愛の告白をしてしまったが、秒で振られてしまった。 その事実はアルベラのプライドを深く傷つけた。 蝶よ花よと育てられた王女で、最近は大人びて女神のようだとさえ言われている。 振られたという『敗北』を味合わされたままではいられない。「今から、手合わせしましょう」「手合わせ? 姫様、朝食は⋯⋯」「朝食? そんなものは貴方に勝ってから優雅に食べるわ」 リアンダー・ソリアルはソリアル家がアルトメ王国開国以来の忠臣と言うこともあり、王族の命令に忠実だった。 リアンダーはアルベラの言動に戸惑いも覚えずつも、練習場で刃を交えた。 練習場に着くころ、朝の冷たい空気が二人の頬を撫でた。 砂地の上には白い霧が薄く残り、木剣の影が長く伸びている。 リアンダーが木剣を差し出すと、アルベラはその柄を勢いよく掴んだ。 一方リアンダーは、心のどこかで嘆息しながらも、姫の命令を受け入れて構えを取った。「姫様、怪我をなさらぬよう、ほどほどに」「手加減したら許さないわ!」 アルベラの声は、朝靄を切り裂くように高く響いた。 リアンダーはその気迫に、ほんのわずか眉を上げる。 そして、静かな練習場に、乾いた木剣の音が響き渡った。 姫のプライドと、忠臣の義務。 そのぶつかり合いが、まだ始まったばかりの一日の空気を震わせていた。 リアンダーとアルベラは木剣を構えたまま向かい合っていた。 最初に動いたのはアルベラだった。 王女とは思えぬ鋭い踏み込みで、砂地を蹴り、木剣を高く振り下ろす。 振り抜かれる風が、短い悲鳴のような音を立てた。 しかし、リアンダーの姿はそこにはもうなかった。 一歩、ほんの一歩だけ横へ。 その動きはあまりに軽く、あまりに静かで、 アルベラの攻
last updateÚltima actualización : 2026-10-12
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23.だから、好き

「傷つける? 真剣勝負で手を抜かれる方がよっぽど傷つくわ。あなたが本気で戦ってくれなきゃ、私の気が済まないのよ」 リアンダーはその怒りの根がどこにあるのか、痛いほど理解した。 しかし、忠臣としても、一人の騎士としても、主に怪我を負わせることだけはできない。 彼女の怒りは、単なるわがままではない。 朝日が霧を割り、影が二人の間に長く伸びた。 そして、その影の先で、リアンダーの表情がわずかに揺れた。 ーー本気で戦うということ。 ーー守るべき姫に剣を向けるということ。 その境界線が、静かに揺らぎ始めていた。 アルベラは砂地に突き立てた木剣を握り直し、涙を拭ってリアンダーを見上げた。 その瞳には怒りではなく、悔しさと消えない想いが揺れている。 リアンダーはしばらく彼女の視線を受け止めたあと、ゆっくりと息を吸い、構えを変えた。 今までとは違う。 空気が一瞬で張りつめ、周囲の景色さえ色を変えたように感じる。「承知致しました。姫様がお望みなら、ほんのわずか本気を出します」 彼が木剣を握った瞬間、 風がひとつ震え、靄が裂けた。 アルベラの喉が、ごくりと鳴る。 バンッ! 木剣と木剣が、今までとは桁違いの重さでぶつかった。 衝撃でアルベラの腕が震え、足が砂に沈む。 リアンダーは攻め続けない。 ただ一度、一撃だけ。 けれどそれは、彼が今まで絶対に見せなかった速さだった。 静かながら明確な線で、彼の実力差が、これが現実だと告げていた。 アルベラは肩で息をしながら、震える腕を見つめる。 その一撃には彼の慎重さと優しさと誠実な気持ちが詰まっていた。 胸に熱が灯り、頬が赤く染まっていく。 リアンダーは少し困ったように眉を寄せる。「姫様、大丈夫ですか?」 アルベラは木剣をぎゅっと握りしめ、震える唇を噛み、そしてこぼれた言葉は、もはや止められなかった。「
last updateÚltima actualización : 2026-10-13
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24.婚約要請

「どうして私がリアンダーが好きだって知ってるの?」「知ってるよ。リアンダー・ソリアル卿が入隊した時から目で追ってたよね」 アルベラはオリバーに指摘されて恥ずかしいよりも、彼がいつもの調子に戻ってきたのが嬉しかった。「初恋、だったのかな。三年に渡る恋は実らなかったわ」「見る目がないんだよ。アルベラの問題じゃなく、彼の問題だ。だいたい、あの男のどこが好きなの?」 オリバーの物言いは失礼にも思えるが、アルベラは彼が普通に疑問がある事は尋ねられるところを尊敬していた。 きっとオリバーが告白して振られたら、ストレートに自分のどこが不満か聞くだろう。 アルベラはそんな自信が持てない。 オリバーと同じ日、同じ時に生まれた自分はいつも彼と一緒だった。 一緒だからこそ、いつも比べられ自分が劣っている人間だと突きつけられた。 それでも、アルベラはオリバーが好きで、彼に追いつきたくて陰で人一倍努力した。「一番かっこよくて、誠実に人と向き合っているところ」「アルベラは面食いというか、一番が好きだね。負けず嫌いというか」「私が敗北を認められるのはオリバーにだけだよ。オリバーは一番美しいし、一番賢いし、世界で一番優しい」 アルベラは思いのままを言った。 オリバーが大好きで、彼のようになりたい。「アルベラ、自信を持って! 君が一番美しいと言ってる僕と君はそっくりだよ」 アルベラはオリバーの指摘に真っ赤になった。 ふと、オリバーの顔が真剣になる。「皇帝陛下から回復の異能の解放を停止すると聞いたよ。アルベラ、国民に尽くすのは僕たちの生まれながらに背負った責務だ。わがままに僕を巻き込まないで」 いつものオリバーから発せられないような厳しい指摘にアルベラは縮こまる。「ごめんなさい。でも、私はオリバーが一番大事なの。このままだと慈しむべき国民を憎んでしまいそうだった」「そうか」 オリバーは短く言うと、スプーンを取り食事に手をつけ始めた。 ♢♢♢ 一方その頃、
last updateÚltima actualización : 2026-10-14
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25.舐めてあげる

リアンダーは国王との謁見が終わると早速アルベラの元へ赴く。 双子の王子と姫がいつも食事している食堂の前まで行くと、扉は開け放たれていた。 アルベラが必死の形相で王宮医に詰め寄っている。「先程申しましたとおり、オリバー王子殿下は喉に少し食事が詰まっただけです」「だったら、喉から詰まった食材を取り出す処置をするはずでしょ。この乾いた咳は何? ちゃんと真面目に診断しなさい」 オリバーはアルベラを制止しようと彼女の背に手を伸ばそうとするが、息が苦しいのか咳き込みながら胸を押さえていた。「姫様、オリバー王子殿下が戸惑っています。元々体調が悪く上手く食べ物が食べられなかっただけかもしれません。あまり、お騒ぎになるのは⋯⋯」 アルベラはリアンダーの言葉にハッとして、慌てて口をおさえる。 そしてチラリとオリバーの方を見ると彼も頷いていた。「取り乱してしまって申し訳なかったわ。お兄様もごめんなさい。今日はゆっくり休んで。後で会いに行くわ」 オリバーが咳き込み頷きながら退出を促すと、リアンダーはアルベラをエスコートし外に連れ出した。「リアンダー。私の失態を指摘してくれてありがとう。来年には王太子になるのに、オリバーの評判に傷をつけてしまうところだったわ」 アルベラが頭を下げてきて、リアンダーは動揺した。 アルトメ王家の王族は神の血を引いているとも言われ、健康状態の悪化など民衆に悟られてはならない。 異能も実際は薬で発現したのに、天から授かった力と公にされていた。 オリバーは今後どんどん悪くなる段階に来ていて、既に王太子はアルベラに内定している。 そして、王宮医はオリバーの体調不良をアルベラに悟られないようにするよう王命を受けていた。「大丈夫ですよ。こんな程度でオリバー王子殿下の評価は揺らぎません」「そうよね。お兄様は完璧だもの。剣術だって、天才的でしょ」 アルベラの目がキラキラ光っている。 確かにオリバーは騎士団に混じり訓練に来た際も、最初から天賦の才を見せていた。 双子の父親ルーカスでさえオリバーの
last updateÚltima actualización : 2026-10-15
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26.風格

「いえ、姫様にそんな事をお願いするなんて、恐れ多いです」 騎士が頬を染めながらいった言葉に、アルベラの目が鋭く光る。「私に傷を舐めてもらうのは恐れ多いのに、王子殿下に傷を治してもらうのは恐れ多くないの?」 騎士は一瞬ぽかんとしたあと、みるみる青ざめた。「い、いえ、そ、そんなつもりでは……!」 だがアルベラは一歩踏み出し、まっすぐ彼を見据える。 その所作は、まだ若い姫とは思えないほど威圧感に満ちていた。「王子殿下は恐れ多くないほど軽い存在なのかしら?」「ち、ちがっ⋯⋯ちがいます! 殿下は尊く、偉大で!」 追い詰められた騎士は、半泣きになって後ずさる。 騎士たちが驚くのも無理はない。 アルベラは小さい頃は天使、今は女神と呼ばれいつも朗らかな人だ。 こんな風に騎士の失言を追求する場面を見るのは初めてだ。 訓練場の空気はみるみる凍りつき、誰もが息をのんだ。 その時、重い足音とともに、近衛騎士団長が前に進み出た。 白髪まじりの鋭い眼光にもアルベラは全く怯まない。 リアンダーは剣を握った事ないのに自分に勝負を挑んできた時の彼女を思い出していた。「アルベラ王女殿下、どうかその辺でお許しください」「許すも何も、怒ってなどいませんわ」 アルベラが女神のように微笑む。空気が一瞬にして変わる。 この笑顔の為なら、何でもできると思わせるようなアルベラの魅惑の微笑みだ。 アルベラはゆっくりと丁寧にな言葉を使い、皆に説き出した。「ただ、今一度、騎士としての自覚について問いたいのです。近衛騎士団は王家を守る為に命を捧げる誓いをした騎士たちです」「王女殿下の仰る通りでございます」「王族に怪我を治して貰う? 分をを弁えなさい!」「「「「はっ」」」」 アルベラの放つ威圧感に近衛騎士団が一斉に敬礼する。 その姿は皆の癒しの女神というよりも、王家を統率する君主そのものだった。 訓練場の空気がよう
last updateÚltima actualización : 2026-10-16
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27.クリフォード

リアンダーはゆっくりと目を開く。「どこだ、ここは」 広がっていたのは、見知らぬ丘の上。 草原は風にゆれ、青い空には大きな雲が連なっている。 まるで絵本の中のような景色だが、異様に鮮明だ。 その中央。 芝生に敷物を広げ、ピクニックをしている家族がいた。 サンドイッチを食べ終わると、銀髪に琥珀色の目をした三歳くらいの女の子が駆け出した。『ちょっとそっち行かないの! 崖近いんだから』 陽の光を浴び、長い銀髪がきらりと光る美しい女性が楽しそうに声を掛ける。(成長したアルベラだ!)『大丈夫だよ。僕が見てるから、安心して!』 男の子が立ちがり、女の子を追いかけるとそっくりな二人は仲良く手を繋ぐ。 リアンダーは足が動かなくなる。(あの子たち。どう見ても、俺とアルベラの子) 風が吹き、双子たちが遠くで笑う。 いつのまにか、彼らがこちらに向かって走ってきていた。『パパー!!』『見てー! おはなー!!』 パンッっと手を叩いた音がした音が聞こえるとリアンダーは訓練場にいた。 目の前で顔を赤くしたアルベラがいる。「こんな感じの家族を作りたいのだけれど、ついて来てくれる?」「承知致しました」 リアンダーはアルベラの幻影に胸が痛くなった。 彼女はこの国の女王になる予定なのに、彼女の夢は極めて庶民的な仲の良い家族。 そして、双子の男の子は歳の割にしっかりしていて、まるでオリバー王子のようだった。「そうだ、リアンダー、先週誕生日だったわね。欲しいものはある?」 リアンダーは一騎士でしかなかった自分の誕生日を把握していることに胸が締め付けられる。(姫様は本当に私ごときを好いてくださっていたんだ)「あ、あの。私が欲しいとかはまだ駄目よ」 小さく消えいるような声で囁くアルベラに思わず吹き出しそうになる。 アルベラは大人びて見えるとはいえまだ十四歳だ。(まずい、堪えなければ⋯⋯流石に
last updateÚltima actualización : 2026-10-17
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28.絶世の美女

クリフォードの突然の来訪があった時、アルベラはいつものようにリアンダーを控えさせオリバーの傍にいた。 一年前にオリバーが倒れ寝たきりになってから、アルベラはずっと彼に付き添っている。 後継者教育の為の書物をオリバーの寝室に持ち込み片時も離れなかった。 咀嚼する力を奪われたオリバーに流動食を作り、視力を失った彼の為に本を読み聞かせた。 異能の薬を提供した科学者を探したが、まだ見つからない。 アルベラは何通も助けを求める手紙をヴェライユ帝国に送っていた。 ヴェライユ帝国の王族は魔法が使える。 回復の魔法というものがあるらしく、異能と違い代償なく使えるという。 アルベラはオリバーの状態を細かに記入し助けを求めたが、その手紙はルーカスに全て潰されていた。「神様お願いです。私たちは二人一緒に生まれて来ました。どうか彼の痛みを私に半分私に分けてください。私の目を一つ彼に与えてください。私たちは二人一緒に生まれて来ました。死ぬ時も一緒に死にたいんです」 三日前に危篤状態になってから、アルベラはずっとオリバーの側で神に祈っている。 その姿を見ながら、リアンダーは自分のしてきた罪を数えるのだった。 心が通じたフリをしてアルベラの信頼を得た彼はアルベラから預かった手紙を常に国王ルーカスに渡してきた。 他国と交流を持つことを極端に嫌うルーカスはその場で握り潰した。 リアンダーが握りつぶせず持ち歩いている手紙は一つだけ。 オリバーが寝たきりになる前に彼に託した手紙だ。オリバーは彼を見据えながらはっきりと言った。『恥ずかしいから直接には手渡せない手紙をアルベラに書いたんだ。リアンダー、もう目が見えなくて感覚だけで書いたから、しっかりと字が書けてるか確認してからアルベラに渡してくれ』 言われるがままに手紙をチェックしたリアンダーは絶句した。『アルベラ、僕の本当の気持ちをここに書くね。君が王家より大事と言ってくれて僕は生きる希望が湧いた。民を憎いと言った君を叱ったけれど、僕はもっと憎かった。憎しみは僕が全部天国に持ってくから、アルベラ
last updateÚltima actualización : 2026-10-18
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29.リアンダーの罪

リアンダーはその様子を呆れた顔で見ていた。「魔法が使えるのですか? もしかして回復の魔法も?」 アルベラが呟いた言葉にリアンダーは唐突に彼女がとられるという恐怖に襲われる。 自分を好きだと言っても、彼女の中でオリバーを超える存在はないと痛い程感じる日々だった。「姫様!」 リアンダーが咄嗟に発した呼びかけにクリフォードが反応する。「本当に片方ずつイヤリングを付けてるんだな」 クリフォードが何気なく発した言葉にリアンダーは自国の情報が既に漏れていることに震撼した。「クリフォード皇帝陛下、実は兄が⋯⋯」 アルベラが話す事は予想できた。アルベラは魔法の力を求めていた。ヴェライユ帝国の皇族と同じように回復の魔法が使えるかクリフォードに尋ねたかったのだ。「ああ、死にかけの足枷のような王子のことか」 大体の軽口を流す度量を普段のアルベラなら持てていた。 でも、アルベラにとってオリバーの侮辱だけはどんな時だろうと許せなかった。 パアン! 乾いた音が響き渡る。「オリバー・アルトメを侮辱することは許しません。貴方と結婚なんて絶対しないわ」「生意気な女は死ね」 無数の竜巻のような風が刃のようにアルベラに襲いかかる。 リアンダーは彼女に覆い被さって必死に庇った。「いずれにしろ、数日後にはお前は俺のものだ」 一言言い残し、クリフォードは風のように消えた。 オリバーが息を引き取ったのは翌日の朝の事だった。 厳かな国葬ではなく、即日身内だけで王城に隣接した教会で葬儀が行われた。 リアンダーは涙も出ず呆然とするアルベラをただ見守っていた。 夜通し身内が死者と時間を共にするのが、アルトメの習わしだが教会に残り続けたのはアルベラだけ。 国王と王妃が一年前には寝たきりになったオリバーが亡くなる日を待ち望んでいた事を知っていたリアンダーは胸が張り裂けそうだった。 夜中なのに教会の外で騒がしい音がした。 リアンダーはアルベラを置いて
last updateÚltima actualización : 2026-10-19
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30.決別

「姫様。なぜ、ここに⋯⋯ここはヴェライユ帝国軍の陣営です」 リアンダーは戸惑いを隠せない掠れた声で言った。 その声を聞いた瞬間、アルベラの胸の奥が痛んだ。 アルメト王家に尽くしたリアンダー。 王家を滅ぼした男の妻になっていると聞いたら、どう思うか考えるだけで恐ろしい。「リアンダー、生きていてくれたのね。会えて嬉しい。私、今ね⋯⋯」 重い鎧の音を鳴らして、カインが駆け寄ってくる。 息も荒く、剣を構え、あらゆるものを斬り払ってでもアルベラを守ろうという気迫。 目を開けたら隣にアルベラがいなくて焦っているのだろう。 そして目にしたのはアルベラと彼女がかつて愛したという男。 カインはリアンダーと面識があり、彼のアルベラへの思いを知っていた。 でも、敢えて彼を無視するようにアルベラに駆け寄る「アルベラ、無事か? 隣に君がいないから、本当に心配した」「陛下、ご心配お掛けして申し訳ございません」 二人の仲睦まじい様子をリアンダーは信じられないと言うように見ていた。 その視線に気がついたアルベラは少し気まずそうに思いながらも、先に状況をカインに説明すべきだと判断する。「この方は祖国で私の護衛騎士をしていたリアンダー・ソリアル卿です」「知ってる。アルベラの昔の男だよな」 カインはまるで二人が夜の逢瀬をしているような場に出会し精一杯余裕ぶりたかった。「昔の男というか、確かに王女時代に私は彼と婚約をしておりました」「知ってる。美しい男だな。アルベラは結構面食いだな」 アルベラはカインは帝国内だけでなく各国の情報について詳しい事を思い出していた。 一方、カインは動揺を悟られないように精一杯虚勢を張っていた。 金髪に琥珀色の瞳をした見目麗しい騎士リアンダー。 まさか彼と再び会う事があるとはカインは思ってもみなかった。 彼がこんな山の中にいる可能性は二つある。 アルベラに極秘で会いにきたか、国の仇であるカインを暗殺しにきたとこ
last updateÚltima actualización : 2026-10-20
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