第11話 世界からの返事 人類が東京の一角を取り戻した翌朝、神崎蓮は机に突っ伏したまま目を覚ました。「……首、痛い」 顔を上げると、頬に紙の跡がついている。 眠った記憶がない。 昨夜は奪還した通信施設の一室で、世界各地から届く通信を眺めていたはずだった。 フランス。 スペイン。 北米。 南米。 アジア。 それまで沈黙していた地域から、次々と短い電文が届き始めた。 生きている。 こちらにも人がいる。 帰還者を確認した。 負傷者がいる。 食料がない。 助けてくれ。 機械が来る。 同じ言葉ばかりだった。 そして、その一つ一つに。 人間がいる。 蓮はそれを考え始めたところで、たぶん眠った。「起きました?」 目の前に缶が置かれた。 鯖の味噌煮ではない。 コーヒー。 高城だった。「……これ本物?」「缶コーヒー」「いつの」「賞味期限は見るな」「怖いこと言うなよ」「飲めるだけありがたく思え」 蓮は缶を持つ。 ぬるい。 当然だ。 冷蔵設備はまだ安定していない。 それでも。 缶コーヒー。 異世界では何度も夢に見た味の一つだ。「開けるぞ」
Dernière mise à jour : 2026-09-25 Read More