「こんなに買えますか?」「問題ありません。はやくお願いします」「ったく、めんどうなことを……」「なにか?」 本人は小声で言ったつもりなのだろうが、店員の悪態はルベルの耳にしっかり届いた。あえてにっこり笑うと、店員は一瞬バツの悪そうな顔をする。「いえ、なにも」 店員はめんどくさそうにレジを打つと、ニヤニヤしながらルベルを見る。「4万5700Ḡです」 ルベルは財布から5万Ḡを出し、トレーに置いて店員の前に差し出す。「これでお願いします」「……!? かしこまりました」 店員は悔しそうな顔をすると、会計を済ませて商品を袋に入れてくれた。「こちらも頼む」 ベルメリオはルベルの倍くらいのお菓子や茶葉を、カウンターに置いた。店員は複雑そうな顔をしながらレジを打つ。「11万2100Ḡです」 ベルメリオは顔色ひとつ買えずに12万Ḡを出す。店員は会計を済ませると商品を袋に入れていく。彼の顔色は入店時よりも悪くなっているように見える。「ありがとうございました」「客を見た目で判断するな」 ベルメリオは店員を睨みつける。大柄なベルメリオに睨まれ、店員は顔を真っ青にして縮こまった。「も、申し訳ございませんでした!」「分かればいい。行くぞ」「はい」 店を出ると、ベルメリオは声を上げて笑った。「見たか、あの店員の顔。いい気味だ」「あなたって負けず嫌いというか、意外と子供っぽいのね」 ルベルは勝ち誇った顔をするベルメリオを見て笑う。いつの間にか敬語も抜けていた。「ナメられっぱなしは嫌なんでな。他に買いたいものはあるか?」「いえ、充分よ」「それなら、どこかで昼を食べてから帰ろうか」「えぇ、そうね」 ふたりは偶然見かけたカフェで食事をすると、城に戻った。「戻りました」 宿舎に入ると、セキナが食堂の掃除をしていた。騎士達は鍛錬をするために外に行っている。
Última atualização : 2026-09-24 Ler mais