火曜日、午前9時ちょうど。大手ニュースサイトとテレビ局の芸能ニュースに、水瀬紗奈と一ノ瀬蓮の名前が同時に並んだ。【公式 水瀬紗奈ディレクター、一ノ瀬蓮とZENITHに未払い創作報酬など4,800万円を請求へ。刑事告訴も】【独占 「3年間、振付を奪われた」水瀬紗奈、原本の作成記録とリハーサル映像を公開】【暴言の録音を公開 一ノ瀬蓮「俺のひと言で、この業界にいられなくなる」】【白石莉々花が証言 「複数の女性との交際も、中傷工作の指示も、事実です」】LUXE法務部が約150の報道機関に配信した、40ページの事実確認資料は、たちまち主要記事で大きく取り上げられた。そこには、紗奈がこの3年で作った振付プロジェクトの初回作成時刻、モーションキャプチャーの記録、そして4,800万円の創作報酬などが支払われず、不当に処理されていた精算の詳細が載っていた。仕事の依頼が届くメールアカウントへの無断アクセスと、メールの隠蔽・削除の疑いを示すデジタル解析の資料も、合わせて公開された。資料が出ると、蓮への批判は急速に強まった。〈人の人生と才能を、4年も丸ごと盗んでたってこと?〉〈水瀬さん、3年間ただ働き同然で搾取されてたんじゃん。ひどすぎる〉〈スタッフへの暴言に中傷工作まで。もう芸能界に戻ってこないでほしい〉〈神宮寺律が4年も片思いして、守ろうとした理由、今ならわかる〉芸能ニュースや動画サイトには、蓮の過去の発言を掘り起こした映像が次々に上がった。「僕のダンスは、僕の魂から生まれるんです」得意げに語ったインタビューは、今や嘲笑の的だった。レコード会社と放送局は、事実確認が終わるまで、蓮を振付の創作者とする表記を保留し、紗奈から権利に関する異議が出ていることをクレジット情報に併記すると発表した。一部のステージ映像の説明欄には、提出された資料をもとに、先に〈振付原案 水瀬紗奈〉が追加された。権利の全面的な訂正手続きは、まだ残っている。それでも、紗奈の名前はもう、消されたままではなかった。LUXEの会議室で画面を見ていた紗奈は、記事のコメントより先に、公開資料の状態を確認した。ほかの被害者の名前は隠れているか。添付ファイルのハッシュ値は報告書と一致しているか。最後まで、目を通した。律が「おめでとうございます」と声をかけたが、紗奈は首を振った。「ま
Last Updated : 2026-09-15 Read more