私の魂は、重さを失ったように宙を漂っていた。白いシーツをかけられた自分の身体が、救急車で運ばれていくのを見送った。警察署の保管室では、私のスマホが透明な証拠品袋に入れられ、ぽつんと置かれていた。制服姿の警察官が二人、所持品を確認している。「先輩、まだ電源が入っています」若い警察官が袋越しに画面をのぞき込んだ。壁紙は、私と蒼真が並んで写った写真だった。蒼真は明るく笑い、私の肩を抱いて、頬を寄せている。誕生日に、私が無理を言って撮ってもらった写真だ。一生、壁紙にすると決めていた。今となっては、悪い冗談にしか見えない。「恋人とうまくいっていなかったのかな」年配の警察官の小谷警部補は画面に目をやり、静かにつぶやいた。スマホにはロックがかかっていなかった。彼は通話履歴を開き、家族への連絡を試みた。私はその隣に浮かび、妙に冷静な気分で眺めていた。さて、最初に誰にかけるのだろう。小谷警部補が、連絡先に「母」と登録された番号を押した。呼び出し音が長く続いた末、ようやく母が出た。「もしもし?こんな夜中に誰ですか」ひどく不機嫌な声だった。「水城日和さんのお母様でしょうか。こちらは所轄署の交通課です。日和さんが交通事故に遭われ、搬送先で――」「詐欺でしょ!」母の甲高い声が、説明を遮った。「そういう悪質な手口、いい加減にしたら?お金なら一円も払いませんから!」小谷警部補は一瞬言葉を失ったが、すぐに説明を続けた。「お母様、詐欺ではありません。娘さんは本当に――」「日和が何ですって?どうせまた、あなたたちまで巻き込んで芝居をしているんでしょう。もう騒ぐのはやめなさいと伝えてください」声には、娘に対するものとは思えないほどの侮蔑がにじんでいた。「小春は体が弱いのよ。ラテを飲みたいと言ったから、蒼真くんが付き添った。それの何が悪いの?警察まで使って騒ぎ立てるようなこと?みっともない真似はやめて、さっさと帰ってきなさい!」ぶつりと電話が切れた。小谷警部補の顔に、困惑と憐れみが浮かぶ。胸のあたりが鋭く痛んだ。魂になっても、心は痛むらしい。お母さん、私、本当に死んだんだよ。もう騒いだりしない。もう二度と……帰ることもない。その頃、蒼真は温かいキャラメルラテを朝倉小春(あさく
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