All Chapters of 時を遡った私は、もう愛さない: Chapter 11

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第11話

「もう過去を振り返るつもりはありませんし、誰かに合わせて自分の生き方を曲げるのも嫌なんです。心から一緒にいたいと思える人に出会えなければ、一生独身でも構いません」葵は栞を見つめ、少し目を潤ませながらも微笑んだ。「そうね。栞が幸せで、笑っていられるなら、それが一番よ」研の車が近づいてきた。葵は車に乗り込む前にふと振り返り、栞をぎゅっと抱きしめた。「栞、本当にありがとう。あのとき検査を受けるように勧めてくれたおかげで、私は今も生きている。それに、律を巡って私と争おうとしなかったことにも感謝してる。おかげで、あの人がどういう人間なのか、早く気づくことができたわ。何より、あんなつらい過去を乗り越えて、自分の人生を歩んでくれてありがとう」夕暮れの木漏れ日の下、栞もつられて笑みを浮かべた。車が走り去るのを見送ると、栞は並木道をゆっくりと歩き出した。街角の画材店の前を通りかかったとき、ショーウィンドウに自分の姿が映った。高い位置で結んだポニーテールに、飾り気のないシンプルなシャツ。澄んだ瞳には、落ち着きと自信が宿っていた。かつて律の顔色ばかりうかがい、好きな画材を買うことさえためらっていた頃とは、まるで別人だった。そのとき、スマホがブブッと震えた。陸からのラインだった。【打ち上げでみんな待ってるぞ。そうそう、ずっと欲しがってた限定モデルのペンタブ、無事に手に入ったからな】メッセージを読んだ栞は笑みを浮かべ、すぐに返信した。【今から行くね!本当にありがとう!】スマホをポケットにしまうと、栞は再び歩き始めた。背後では街のあちこちに温かな明かりがともり、目の前には街灯に照らされた広い道がまっすぐに伸びていた。栞は一度も振り返らなかった。少し離れた街角には、無精ひげを生やした男がうずくまっていた。色あせたデニムジャケットを身にまとい、手には子ども向けの絵画教室で余ったクレヨンを握りしめている。男は栞の後ろ姿を見つめていた。その目は、今にも血の涙を流しそうなほど真っ赤に充血していた。立ち上がって追いかけようとしたものの、しびれた足に力が入らず、冷たいタイルの上に崩れ落ちた。地面に倒れ込んだまま、栞の姿が人混みの中へ消えていくのを、ただ見送ることしかできなかった。冷たい秋風が頬を刺し、男の体は小刻みに震え
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