ドンッ――! 元麻布のペントハウスの重厚な玄関扉が、壊れんばかりの勢いで開いた。目を真っ赤に血走らせた久我雅臣がリビングへ踏み込んできた。その手には私立探偵から送られた写真を印刷したA4用紙の束が握られていた。 紗良はシルクのガウンをまとい、ソファで優雅に温かい紅茶を飲んでいた。 「白石紗良、この汚らわしい女が!」 雅臣が怒鳴り、写真の束を紗良の顔めがけて投げつけた。 バサバサッ――! 隼人とテラスで口づけを交わすぼやけたシルエット写真が、紗良の足元に散らばった。 「これは何だ! 俺の金で食っているくせに、若いプロの男と遊び歩いていやがるのか!」 雅臣は紗良の胸ぐらをつかもうと手を伸ばした。 パシッ! 紗良はティーカップを置き、その手首を払いのけた。落ちた写真には確かに自分がいたテラスが写っていた。彼女は一枚拾い、顔の写った部分を確かめた。 「騒がないで、久我雅臣。その汚い手をどけなさい」 「何? 汚い手だと? この写真を見てもそんな口が利けるのか!」 紗良はふっと乾いた笑いを漏らした。床の写真を一枚、尖った靴先で軽く踏みつける。 「暗がりで望遠レンズを使って人影を撮っただけで、私に罪を着せる気? これが私だという証拠はどこにあるの?」 「何だと!?」 「昨日の未明、私はアルファインベストの石原誠司社長と顧問弁護士団と一緒に南青山のクラブで新規ファンドの打ち合わせをしていたの。望むなら、石原社長と大手法律事務所のパートナー弁護士たちとの会議の録音を今すぐ再生してあげましょうか?」&nb
Last Updated : 2026-10-24 Read more