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死んだ妻の漫画の連載が始まった のすべてのチャプター: チャプター 21 - チャプター 22

22 チャプター

21話 受賞の言葉

紬が目を開けると、廊下の先に夫の靴が見えた。昨夜は帰ってくる音を聞かなかった。ドアを開けたままの小さな部屋で体を起こすと、リビングにいた直人がシャツの袖を引きながら尋ねた。 「昨日、電話してたね」 「うん」 紬はベッドの縁に腰掛け、床に足を下ろした。直人が部屋の入口に近づくと、膝に置いていた手を開いた。 「昨日、病院に電話したの。食事もあまり取れないし、体が……」 「病院は何て?」 「様子を見て、また連絡するようにって。でも、一人だと……」 直人のスマートフォンが鳴った。彼は画面に目を落とした。 「ちょっと待って。もう車が来た」 シャツのボタンを留めかけの手で電話に出て、スマートフォンを肩と耳の間に挟んだ。 「はい、今下ります。5分で。資料は持っています」 紬はスリッパを履いた。電話が終わるまで待っていたが、直人は折り畳んだイベントの資料を先に鞄へしまった。 7月9日、水曜日。用紙の一番上には、今日の日付が大きく記されていた。 「授賞式は夜じゃないの?」 「昼から撮影と対談の準備もあるんだ。今日、終わったら連絡する。打ち上げもあるから」 「遅くなるって言ってたね」 直人は鞄を持ち上げながら、妻のコップを脇へ押しやった。 「ちゃんと食べておけよ。昨日頼んだもの、残ってるだろ」 「さっきの話、帰ってきたら聞いてくれる?」 「あ
last update最終更新日 : 2026-10-30
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22話 葬儀の翌日

直人が家に帰ると、リビングの明かりがついていた。 7月10日の朝だった。打ち上げが終わってからも数人が残って別の場所へ移り、彼は遅くまで酒を勧められた。マンションの共用玄関に入るときスマートフォンを見ると、紬は昨夜のメッセージに返事をしていなかった。 玄関の横には小さな水のボトルが入った箱が置かれていた。箱をつま先で押し、ドアが閉まるようにしてから、彼はまずジャケットを脱いだ。トロフィーを食卓に置くと、硬い台座がガラスの天板にぶつかった。 「紬」 小さな部屋のドアが開いていた。ベッドの端から片腕が下がっているのが先に見えた。直人は眠っている間に電話を落としたのだと思い、部屋に入った。 「どうしてこんな寝方を」 腕を持ち上げようとした手が止まった。呼んでも体を動かさなかった。直人はもう一度名前を呼び、それから肩をつかんだ。紬の顔を近くで見て初めて、スマートフォンを取り出した。 電話番号を一度押し間違えた。消して打ち直す間に、手に汗が滲んだ。 「妻が起きないんです。呼んでも返事がありません」 「今いらっしゃる場所の住所を教えてください」 とっさに出たのはマンションの名前だけだった。棟と部屋番号を聞き返され、彼は玄関のほうを振り向いてから、ようやく住所を伝えた。 「いつから、この状態ですか?」 「わかりません。今、帰ってきたんです。たった今、家に着いたところで……」 指示は続いていたが、何度も自分の声が重なった。 「昨日の朝は話しました。家にいて、私が出るときは、こんなふうじゃなかったんです」 玄関から入ってきた人たちに
last update最終更新日 : 2026-10-31
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