その日、テオが案内してきた男は、色は地味だが非常に仕立ての良い服を着ていた。 背丈はテオよりも大きく、肩幅があり、背筋が真っ直ぐに伸びた……まるで軍人のような人物だ。「あれ、誰だ?」「中央から、花嫁を輿入れさせるための視察かなにかか……?」 離れた場所でヒソヒソと、兵士や傭兵たちが囁いている。「あー、みんな、集まってくれ」 修練場の台に立ったテオが言った。「こちらは、あー……、アーサ=ソール殿だ。親しくアーサー様と呼んでやってくれ。皆、失礼のないように!」 テオは、それしか言わなかった。 が、その〝失礼のないように〟の一言で、場に居る者は、それが件の〝花嫁〟であると察した。「テオ様!」 エルドが挙手をする。「なんだ?」「華燭の典は、いつですか?」「あ〜、半年……か一年後だ!」「ずいぶん、先ですね」「貴族の場合、招く客とかの都合もあるし、用意も大変だから、時間掛かるんだよ……」 ざわざわと、波紋のように囁き声が広がる。「とにかく! くれぐれもよろしく頼むぞ」「はい、閣下!」 全員が、特に命もないのに敬礼をした。 正規の兵も、傭兵も、分け隔てなく気を配るテオに、全員が礼を示したのだ。「じゃあ、今後ともよろしくな」 皆の礼に礼を返し、テオはアーティを連れて修練場から去っていった。「あのデカイのが、オメガ……?」「しかも……、笑みの一つもない」「当たり前だ。中央から辺境に送られて、不満紛々なんだろうさ」 ざわめきの中、アンディとエルドは顔を見合わせる。「あれが……奥方様……?」「冗談じゃない! 俺は認
Dernière mise à jour : 2026-11-07 Read More