夜の会場で照明がふっと落ちる瞬間、いつも心の準備をしている。私が見るKiroroのライブでの『mirai e kiroro』は、原曲の優しさを崩さずに「広がり」を加えるのが定石だと感じる。序盤はピアノの単音で静かに始まり、徐々にストリングスやアコースティックギターが重なっていく。そこからサビに向かってドラムのスナップが入ると、会場全体が息を呑むような一体感が生まれる。
中盤では、アレンジに小さな変化をつけて聴き手を飽きさせない工夫がある。たとえば二番の最初でテンポをほんの少し落とすことで歌詞の一行一行を強調し、ラストサビでキーを上げて感情を一気に解放する。コーラスやハミングの重ね方も巧みで、ステージと客席が呼応して歌う場面では、楽曲が“共有の祈り”のように感じられる。私にとって、そのアレンジは曲をより温かく、同時にスケールアップさせる魔法のようだ。