結婚直前、婚約者は元カノと復縁しようとしている結婚式の前日、岸川慎一(きしがわ しんいち)は浮気した。
彼は岸川グループの10%の株の譲渡契約書を私の前に突きつけた。
「雪江が帰った。彼女を手放すわけにはいかない」
彼の言っているのは小林雪江(こばやし ゆきえ)。とっくに別れたはずなのに、彼の心に残り続けている女性。
私は彼と喧嘩して、卑屈になるまで彼に行かないでと懇願した。
七年間、私は彼と一緒に起業し、苦労を尽くしてきた。
それなのに彼は、かつて自分を捨てた女のために、私との結婚を取りやめようとしている。
慎一は私が感情的になる様子を平然と見ていた。
「森川知子(もりかわ ともこ)、もういい加減にしろ!
岸川グループの10%の株をやる。この七年間の補償としては十分だろう」
結局、私はサインして立ち去った。
その時、スマホに突然メッセージが届いた。
【知子、君の負けだ。僕との約束を忘れないでね】
【分かったわ】