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結婚直前、婚約者は元カノと復縁しようとしている

結婚直前、婚約者は元カノと復縁しようとしている

By:  えつじCompleted
Language: Japanese
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結婚式の前日、岸川慎一(きしがわ しんいち)は浮気した。 彼は岸川グループの10%の株の譲渡契約書を私の前に突きつけた。 「雪江が帰った。彼女を手放すわけにはいかない」 彼の言っているのは小林雪江(こばやし ゆきえ)。とっくに別れたはずなのに、彼の心に残り続けている女性。 私は彼と喧嘩して、卑屈になるまで彼に行かないでと懇願した。 七年間、私は彼と一緒に起業し、苦労を尽くしてきた。 それなのに彼は、かつて自分を捨てた女のために、私との結婚を取りやめようとしている。 慎一は私が感情的になる様子を平然と見ていた。 「森川知子(もりかわ ともこ)、もういい加減にしろ! 岸川グループの10%の株をやる。この七年間の補償としては十分だろう」 結局、私はサインして立ち去った。 その時、スマホに突然メッセージが届いた。 【知子、君の負けだ。僕との約束を忘れないでね】 【分かったわ】

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Chapter 1

第1話

結婚式の前日、岸川慎一(きしがわ しんいち)は浮気した。

彼は書類を持って帰宅した時、私はウェディングアクセサリーを整理していた。

目を上げると、彼の襟元のボタンが緩んでおり、首にキスマークが残っているのが見えた。

手の中のヘアピンが床に落ち、私は声を震わせて問いかけた。

「首にあるのは何?」

彼は無意識に首元を隠し、顔に一瞬の緊張がよぎったが、すぐに平然とした表情に戻った。

書類を私の目の前に差し出し、まるで商談をするかのように平淡な口調で言った。

「雪江が帰った。彼女を手放すわけにはいかない。ここに岸川グループの10%の株がある。手切れ金として受け取ってくれ」

彼の言っているのは小林雪江(こばやし ゆきえ)。とっくに別れたはずなのに、彼の心に残り続けている女性。

「どういう意味?」私は呆然として聞き返した。

「結婚式を中止する」平然とした口調だった。

私は彼の腕を掴もうとした。

「慎一、明日結婚式なのに、今さら中止ってどういう意味?」

彼は腕を引き抜き、疲れたような口調で答えた。

「雪江は数年前、家族に追い詰められて去ったんだ。彼女が戻ってきた今、俺が見捨てるわけにはいかない」

私は声を震わせて問いかけた。

「本気なの?彼女のために結婚式を中止するの?じゃあ私はどうすればいいの?」

混乱した私は、両手で彼の腕をしがみついた。

爪が彼の腕に食い込みそうになるほど握り締め、全身が震えていた。

「ちゃんと答えてください!慎一、私はどうすればいいのよ?!

七年間の付き合い、こうも簡単に捨てるっていうの?

明日みんなの前で結婚の誓いをするのに、今さら『中止』ってどういうつもりなの?」

彼は眉をひそめ、無理やり私の手を振り払おうとするが、私はさらに強く抱きしめ、叫び声を上げた。

「私を見て!ちゃんと目を見て!

あなたは言ったでしょ?私がこの世の誰よりもあなたのことを理解してるって、私の方があなたの一番大切な人って!

家を買って、子供が生まれたら一緒に育ち、最後まで一緒にいようと約束したんじゃないの?全部忘れちゃったの?

彼女が戻ってきたから?じゃあ、あの人が当時出ていった時は、どうして『見捨てるわけにはいかない』って言わなかったの?

それで今さら、私たちの七年間をゴミみたいに捨てるわけ!?」

私は片方の手を離し、もう片方の手で彼の腕を必死に掴んだまま言った。

「お願い慎一!こんなことしないで、私は何もいらないから……

豪華な結婚式も、大きな別荘も、高級車も全部いらないから、あなたがいればそれだけでいい……

お願い!結婚式を中止しないで……

何でもするから、さっきのことは、全部なかったことにするから……明日私と結婚してください……」

彼は私の指を一本一本こじ開けた。指が開かれる毎に、私の心は引き裂かれるように痛んだ。

「森川知子(もりかわ ともこ)、もういい加減にしろ!

雪江のことはずっと心から忘れられない。あの頃は仕方がなかったんだ。今彼女が戻ってきたんだから、絶対に彼女を失望させるわけにはいかない」

「ずっと心から忘れられない?」

私は呆然とし、やがて笑い出した。

「私と恋をして、同棲して、未来の計画を立てたのは全部芝居だったの?

慎一、私のことを何だと思っているの?使い捨ての道具なの?

一番大変の時期を共に乗り越えてきたのは私達でしょ?あなたを助けたのはほかでもない、私の父の出資でしょ?

色んなチャンスを諦めて、あなたの側にいることを選択したのに……

今さら『彼女が戻ってきた』なんて一言で、私のこれまでの努力を水の泡にするの?」

しかし慎一の目には僅かの動揺もなかった。

彼はまるで赤の他人を見るように、冷たく私を見下ろした。

「もういい加減にしろ。もう一度言う、雪江の方が大切なんだ。俺は彼女を選ぶ。

この株は手切れ金だ。受け取ったらここにサインしろ。これ以上執着するな」

私は一歩後ろに下がり、足がフラついた。

「分かったよ慎一、よくもこんなことを……絶対に思う通りにはさせないわ!

死んでもあんたを許さないから!」

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