日暮れも夜も、もうあなたの世界に私はいないあと1ヶ月しか生きられない、という検査結果を手に家に帰ったとき、夫の植田哲平(うえだ てっぺい)は、親友の中野若葉(なかの わかば)とちょうど情事を終えたところだった。
床に脱ぎ散らかされた服や、あちこちに丸めて捨てられたティッシュを見ながら、哲平は私にこう言った。
「キッチンも寝室もリビングも、俺たちでめちゃくちゃにしちゃったから。お前がちゃんと片付けておいて」
結婚して3年。哲平はいつもこうやって、私を辱めることを楽しむのだ。
でも、仕方ない。昔、私が彼を捨てたのだから。彼が私を恨むのも当然のことだった。
私は黙って部屋を片付け、彼らがいた痕跡をきれいさっぱり消し去った。
ただ、このときだけは、私たちが暮らしたこの家を、もう一度しっかり目に焼き付けておきたかったのだ。
ところが、そんな私を哲平が突然呼び止めた。
「なあ、梓。そういえば俺たち、結婚写真を撮ってなかったよな」
私の目に浮かんだ一瞬の喜びを見て、哲平は鼻で笑った。
「まさか、俺とお前の話だとでも思ったか?明日、俺は若葉と撮影するんだ。お前は、彼女の付き添いに来いよ」