選ばれなかった指輪私は同じ男と、七度結婚した。
そして彼も同じ女のために、七度、私と離婚した。
彼が「自由の身」となって初恋と休暇を過ごすため、彼女が噂にさらされないように守るため。
初めて離婚した時、私は手首を切って彼を引き留めようとした。
救急車のサイレンが鳴り響く。
だが彼は一度も病院に来てくれることはなかった。
二度目は、私は自分の価値を犠牲にして彼の秘書になった。
ただ、もう一度だけ彼の横顔が見たかったから。
私のヒステリーも、譲歩も、妥協も――彼にとっては、いつもの「一時的な別れ」の儀式でしかなかった。
彼は予定通りに私の元へ戻り、予定通りにまた去っていった。
だから六度目には、もう泣き叫ぶこともなく、黙って荷物をまとめた。
二人で過ごした部屋から、静かに出て行った。
そして今回は七回目。彼の初恋がまた帰国すると聞いて、自ら離婚届を彼の前に差し出した。
彼はいつものように、「一ヶ月後にまた籍を入れ直そう」と微笑んだ。
けれど、彼は知らなかった。
――今度こそ、私が本当に去るのだということを。