一方で『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』のサウンドトラックも忘れられません。川井憲次が生み出す電子的で未来的な音色が、サイバーパンクの世界観と見事にシンクロしています。『inner universe』のオープニングは、肉体と機械の境界を問う物語のテーマを音で表現した傑作です。音楽が単なるBGMではなく、作品の一部として機能している稀有な例でしょう。
『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』のサウンドトラックには、足音や金属の軋みを巧みにブレンドした楽曲が多く存在します。特にタチコマが移動する時の軽やかなステップ音と、人間の足音を対比させることで、サイボーグと人間の境界線を曖昧にする効果を生み出しています。
菅野よう子の音楽は、単なるBGMではなく、足元から響くリズムが都市の息遣いそのものを表現しているように感じます。コンクリートを叩くヒールの音や、雨に濡れたアスファルトを歩く音が、ドラマティックなシーンと見事にシンクロしています。こうした細部へのこだわりが、近未来のリアリティを構築する一因になっているのは間違いありません。