偽りの誓い~葬られたバラ結城蒼汰(ゆうき そうた)はまたしても、私の誕生日パーティーに高橋莉奈(たかはし りな)を同伴している。
彼は彼女の腰を抱き寄せ、招待客たちに紹介する。
「莉奈は結衣の一番の親友であり、結城グループの新たなビジネスパートナーです」
シャンパングラスを握りしめる私の指先は、血の気を失っていた。莉奈は先週、私が三年がかりで進めてきたプロジェクトを横取りしたばかりなのだ。
蒼汰が私の耳元に顔を寄せ、低く囁く。
「感謝してほしいな。大切な友情を、繋ぎ止めておいてあげたんだから」
それからというもの、莉奈は私のジュエリーを身につけてチャリティーパーティーに出席し、私の専属メイクアップアーティストを使い、あろうことか結城家の代表として株主総会にまで出席するようになる。
一族恒例の乗馬会の日、蒼汰は私の愛馬を莉奈に貸し与えてしまった。
彼は自らの手で彼女のあぶみを調整しながら、顔すら上げずに私へと言い放つ。
「君は乗馬が下手なんだから、みんなのペースを乱すなよ」
馬場の脇にぽつんと立ち、二人が肩を並べて障害物を飛び越えていくのを見つめる。結城家の親族たちが笑いながら褒めそやしていた。
「本当にお似合いの二人だね」
帰路につく頃には、土砂降りになった。私に車がないことなど、誰も気にも留めない。蒼汰からメッセージが届く。
【自分でなんとかしろ。せっかくの気分をぶち壊すなよ】
私はエンゲージリングを外し、ただ【わかった】と返信した。
再びスマホの画面が明るくなり、神崎蓮(かんざき れん)からメッセージが届く。
【あの時のラブレター、本当に受け取ってくれたのか?】