時間の流れの中で過去と向き合う物語は本当に心に残りますよね。'The Remains of the Day'(『日の名残り』)は、執事スティーブンスが人生を振り返る過程で、失われた愛情や機会に気付く繊細な作品です。
石黒一雄の筆致は静謐で、読者を主人公の内省の旅に自然と引き込みます。特に、主人公が若い頃の出来事を現在の視点で解釈し直す場面は、記憶の曖昧さと自己欺瞞の心理を描いて秀逸です。
似たテーマでいえば、村上春樹の'色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年'も、主人公が過去の友人関係を再検証する物語。突然の絶縁理由を探る過程で、記憶の解像度が変わっていく描写が印象的でした。