別宅に夫の愛人がいた私は、本間澪華(ほんま れいか)。結婚してからずっと空き家のままになっている家がある。
そんなある日、管理会社から連絡が入った。
「本間様、恐れ入りますが、そちらにご入居中の方へお伝えいただけますでしょうか。ベランダに干してある女性用の下着が外から見えてしまうということで、下の階の方からすでに二度ほど苦情が入っておりまして……」
送られてきた写真には、透け感のあるセクシーなランジェリーが、ベランダのいちばん外側に掛けられ、風に揺れていた。
その隣には、見覚えのあるメンズのボクサーパンツまで干してある。
胸の奥がすっと冷え、私はすぐ夫の本間郁人(ほんま いくと)に電話をかけた。
「汐見ヒルズの部屋、人に貸したの?」
郁人は一瞬だけ黙り込んで、それから急に笑い出した。
「なんだ、もう気づいたのか。本当はサプライズにするつもりだったのにさ。帰ったら、家賃はちゃんと家計に入れるようにするから」
私は嬉しそうなふりをして、「ほんと?助かる」と笑ってみせた。
電話を切ると、そのまま汐見ヒルズへ向かった。