比較して楽しむポイントがいくつかある。まず作画そのものに目を向ける人は、
モノグサのキーフレームの“見せ方”に注目しがちだ。線の強弱や顔の表情、ポージングでキャラの性格を立てるタイプの作画で、重要なカットにはかなり手が入っている反面、中間の動きが省略されていることがある。だから「ここは絵がきれい」「ここは動きが硬い」といった評価が同じエピソードの中でも混在しやすい。ファンの間では、キーフレの美しさを「絵力」と呼んで褒める一方で、動画枚数の少なさや一部のカットでのデッサン崩れを指摘する声も根強い。
演出面に目を向けると、モノグサは画面の間や尺の使い方で感情を立てるのが上手いという意見が多い。カットの切り替え方、引きと寄りのバランス、静止画を活かした間の取り方で、低予算や限られた動きでも印象深いシーンを作ることができる。特に「一枚絵での説明」「効果音や音楽とのコンビネーション」を重視していて、演出的なリズムで視聴者の注意を誘導するのが得意だと評価されている。逆に、素早いアクションや長時間の連続した動きが求められる場面では、演出だけではカバーしきれないと感じるファンもいる。
ファン同士の比較はしばしば技術的な観点と感情的な好みが混ざる。技術的には原画・動画・色指定・合成のバランスの話が出る。原画が良ければ見映えはするが、動画の枚数不足で動きがぎこちなくなるといった具体的な指摘。スタッフ表をチェックして、どの原画マンがどのカットを担当しているかを突き止める熱心な人もいる。一方で、演出的な観点では「この演出は物語のテンポに合っている」「この間がキャラの心情を伝えている」といった感情論に基づく評価が多く、好みの差が出やすい。
結論めいた言い方をすると、モノグサの作画は“絵で魅せる”力が強く、演出は“間と構成で魅せる”力が強い。どちらが優れているかは作品の性質やファンの期待によって変わる。アクション重視の作品なら動きの緻密さを求める声が大きくなり、心理描写や雰囲気重視の作品なら演出の巧みさが評価される。だからファンはしばしば「ここは作画で殴った」「ここは演出が光った」と場面ごとに賞賛と批判を使い分ける。それがモノグサを語る楽しさでもあり、観る側の視点が広がる要因でもある。