目を留めたのは顔の造形がぐっと整理されていた点だ。
旧来の挿絵は細かな毛並みや写実的なプロポーションに頼っていたけれど、アニメ版ではラインを極力シンプルにして目と鼻の表現を強調している。僕はその変化に親しみやすさを感じた。具体的には目を大きめに、黒目にハイライトを入れて表情の読み取りやすさを高め、鼻や口元のディテールを減らしてアニメーション上のブレや作画差を吸収しやすくしている。
色味も変わっていて、原作より明度を上げたパレットが主流だ。衣装や小物の色分けでシルエットを分かりやすくし、動きの中でキャラが埋もれない配慮がある。『
ルドルフとイッパイアッテナ』の挿絵的な温かさを残しつつ、画面での視認性と感情表現を優先した改変だと感じている。最終的に、アニメ版は動くことを前提にデザインが合理化されている印象が強かった。