登場人物たちの内面が見え隠れする瞬間に、一番心をつかまれた。'
キミガシネ'は表情や台詞だけで終わらせず、選択や沈黙がキャラクターの倫理観や恐怖心を代弁しているように感じられる。
読み進めるうちに、誰かが取る小さな行動──ためらい、反射的な嘘、言葉を濁す癖──が積み重なって人格そのものを形作る描写が巧みだと気づいた。私の経験だと、似たタイプの心理的駆け引きは'デスノート'でも見られるが、こちらはより即物的で生存圧力が強い。そのため、理屈よりも感情の揺らぎが前面に出る。
また、罪悪感や後悔の描写が単なる説明で終わらず、行動の連鎖を生む点も注目に値する。登場人物たちが抱える過去のトラウマが現在の判断にどう影響を与えるか、断片的な内省を通じて読者に想像させる作りが秀逸だ。結末に向かうほど、その心理の“積み荷”が重くのしかかってくる感覚を楽しんでいる。