耳に残る断片を求めるなら、'Woman in the Dunes'のメインテーマから入るのがいい。音の間(あいだ)を活かすたけみつの手法が最もよく見える曲で、場面を支える不気味さと詩情が同居している。僕は最初にこのテーマを通して、彼が“鳴らさない音”をどう設計するかを学んだ。
次に注目したいのは楽器の選び方だ。弦の擦れや金属的な打撃、時に遠くで鳴る木管が画面の質感を増幅する。その組合せは映画のテンポを決める呼吸みたいなもので、場面転換やクローズアップの効果を強める。映画ファンなら映像とともに聴き、どの瞬間で沈黙を残し、どこで音を重ねるかを確かめると勉強になる。
最終的に僕が薦める聴き方は、まず単独で曲を聴き、次に該当シーンに戻って音と映像の関係を確かめること。たけみつは映画音楽を“効果音”や“BGM”の域に留めず、映画そのものの語り口として使っているから、その対照を楽しむと理解が深まると思う。
『ベオウルフ』のサウンドトラックの中でも『A Hero Comes Home』は特に印象的です。この曲は物語のクライマックスで流れ、主人公の勇気と犠牲を音楽で見事に表現しています。
旋律の力強さと哀愁が混ざり合い、古英語叙事詩の世界観を現代に甦らせたような感覚があります。歌詞の深みもさることながら、楽器の使い方に中世の雰囲気を感じさせるのが秀逸。何度聴いても胸に迫るものがあり、サウンドトラック全体の象徴的な一曲と言えるでしょう。