まず目を引くのは、シリーズ序盤にある現場描写だ。ここは『
ケイゾク』が持つ独特の空気感──不可解さと静かな狂気が同居するトーンを一気に伝えてくれる。僕は初めてこのシーンを観たとき、説明の足りない余白がむしろ興味をかき立てることに驚いた。捜査の手順や証拠の見せ方だけでなく、言葉にされない登場人物同士の微妙な距離感が丁寧に描かれていて、登場人物への感情移入がしやすい。
また、この場面は映像表現と音の使い方が絶妙で、視覚的な手がかりと聴覚的な緊張が絡み合うことでミステリーとしての魅力が高まっている。初心者には細部を見逃さないでほしい。台詞の端々、カメラの寄せ方、短い間の取り方が後の展開への伏線になっていることが多いからだ。
結局、この序盤の現場描写は物語の導入として最も親切でありながら、本作の核心的な魅力をきっちり提示してくれる。まずはここを観て、作品の匂いを確かめるのが一番だと感じている。