放送当時の空気を思い出すと、視聴率という数字と作品の評価が必ずしも一致しない典型例だったと思う。
私が観ていたころ、『
ケイゾク』は大衆的な視聴率の面では派手な数字を残すタイプではなかった。プライムタイムの人気作のように毎回二桁後半や二十%台を安定して取ることはなかったが、回によっては健闘する局面もあり、平均としては局の期待に対してやや控えめなラインに収まっていた印象だ。視聴率の上下はあったものの、数字だけで切り捨てるには惜しい独特の魅力が放送直後から指摘されていた。
批評や業界内の評価はむしろ好意的だった。脚本の仕掛けや映像表現、役者の佇まいに対する称賛が目立ち、特に同時期の娯楽寄りの作品と比べて『深みのあるサスペンス』として評価された。視聴者の間でも熱心な支持層が形成され、後年の再放送や語られ方で評価が上がっていったのを私は見てきた。数字では表しにくい影響力を持つ作品だと今も思っている。