取材の切り口が鋭いと、まず作品成立の“偶然”や“必然”がぽろりと出てくると思う。僕が取材記事で読みたいのは、『
hellsing』の異様なムードがどう生まれたかという部分で、具体的にはアルカードのデザインにまつわる試行錯誤や、吸血鬼像への独自解釈がどの段階で固まったのかという話だ。
編集や連載スケジュールとの攻防、線描やトーン処理で試した失敗例、ページ割りをめぐるやりとりなんかも面白い。例えば当初のコマ割りはもっと実験的で、それを落とし込む際にどこを削りどこを残したか、どうやって物語のテンポを守ったかという裏話は実務的で説得力がある。
最後に、作風の源流──影響を受けた映画や書物、それに対する冗談交じりのセルフ批評が聞ければ嬉しい。創作の苦みと楽しさが同時に伝わるような、そんなインタビューになるはずだ。