サボテンの恋~年下のきれいな男の子に毎日ごはんを作ってもらうお話

サボテンの恋~年下のきれいな男の子に毎日ごはんを作ってもらうお話

last update最後更新 : 2026-06-06
作者:  西しまこ剛剛更新
語言: Japanese
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評分不足
4章節
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故事簡介

純愛

癒され

年の差

天使

「ごはんだよ」で起こされ 帰宅すると「ごはん出来てるよ」で迎えられる幸せ。 波瑠はある日、猫ときれいな男の子、千颯を拾った。 「ここに置いてください」と千颯に言われ、「ごはんを作ってくれるなら」と 波瑠は千颯を家に置いてあげることにした。 朝目が覚めたとき「ごはんですよ」と言われる幸せ。 帰宅したときに「ごはん出来ていますよ」と言われる喜び。 波瑠は毎日朝起きるのが嬉しく、また早く仕事から帰りたくなっていく。 これは、ごはんがおいしいお話です。 そして、年下の男の子にごはんを作ってもらうお話。

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4 章節
第1話 あれ? うちに猫なんていたっけ?
「にゃー」  ……猫?  うちに猫なんていたっけ? 波瑠は細く目を開けた。昨日、深酒をしてしまったので、身体がとてもだるい。  ほわほわの白と薄茶の毛並みで金茶の目をした猫が「みゃー」と小さく鳴きながら、とてとてと畳の上を歩いていた。  仔猫?  思わぬものが目に入り、細くしか開けていなかった目を、瞬きを一度してからはっきりと開けた。すると、そこはいつも眠っている寝室ではなかった。広い土間の玄関から入ってすぐの、使っていない和室だった。その畳の上に直に寝ていたのである。 ……昨日、こんなところで寝ちゃったんだ。ベッドにも行かず着替えもせず。暖房つけっぱなしで。……スーツ、しわくちゃ。雨戸を立てるのも忘れちゃった。  部屋は朝の光で満ちていた。明るい日差しが縁側から入り、カーテンのかかっていないガラス戸を通って、畳に幸福そうな陽だまりをつくっている。 「にゃー」  猫。……かわいい。  でも、私、猫は飼っていなかったはず。  どこで連れて来ちゃったんだろう? 拾ったのかな?  ぼんやりした頭で波瑠は、昨夜のことを思い出そうと考えを巡らした。  ……駄目だ。寝起き、駄目。全然思い出せない。  とりあえず波瑠は身体を起こした。  やわらかな毛玉のような仔猫は、波瑠が身体を起こすと「にゃー」と鳴いて、波瑠にすり寄って来た。 ふふ。かわいい。 「――え⁉」  猫を抱き上げようとして、波瑠はあるものが目に入り、思わず声を上げた。  あるもの――  ――誰か、いる。 波瑠が寝ていた和室に、もう一人、見知らぬ人間が寝ていた。  波瑠は一人暮らしだ。  一人暮らしには広い、平屋の一軒家で静かに暮らしている。 ……誰?  眠っているその人を、波瑠はじっと見つめた。  短い黒髪……きれいな髪。さらさらしている。  波瑠は向こうを向いている顔を見るために移動し、顔を覗き込んだ。 うわあ、きれいな寝顔! 白い肌に整った眉毛。毛穴なんて見当たらず、つるんとしている。睫毛長い! ――女の子? ううん、男の子? ――どっちだろう?   波瑠がじっと見つめていると、そのきれいな寝顔がぴくりと動き、ゆっくりと目を開けた。  すごい! 目を開けると、ますますきれい!「おはようございます。……昨日は泊めてくれてありがとうございます
last update最後更新 : 2026-06-03
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第2話 そう言えば、うちの前で拾ったんだっけ
 昨日波瑠は、会社の飲み会に参加していた。  そして、座席の隅の方で、ひっそりと飲んでいた。「黒岩課長! おめでとうございます!」 「生まれたのは、女の子ですよね?」 「三人目なんて、すごいなあ」 「奥さんと仲良しですよね。インスタ見ています!」 「奥さんも美人で、娘ちゃんたちもかわいいですよね」 「羨ましいなあ」  場の中心となっているところで、課長の黒岩が、皆に三人目の子どもが出来たことを祝福されていた。  波瑠は、顔を真っ赤にしてまなじりを下げている黒岩を横目で見ながら、次々に酒を飲んだ。飲み放題なので遠慮なく飲み続ける。「おめでとうございます!」と皆が拍手したときは、一応皆と一緒に拍手をした。少し笑顔も見せてみた。  だけど、あの祝福の輪の中に入って、「赤ちゃんの写真見せてください! きゃー! かわいいですねえ」などとやることは出来なかった。 なぜならば、波瑠は、黒岩とつきあっているから。  ――いや、もう「つきあっていた」、かな。  もうこんなの、嫌。耐えられない。別れる。今すぐ。いいや、もう、別れた!  波瑠は暗い思いを晴らすように飲み続けた。この次は日本酒にしよう。悪酔いしても構わない。いや、悪酔いしてしまいたい。  不倫であることは、最初から分かっていた。だけど、愛されているのは自分だと信じていた。奥さんには気持ちはないと。娘はかわいいけれど、奥さんはもう「娘の母親」でしかなく、性的関係もないと。――そう、確かに言っていた。それが何? 三人目が生まれた? どういうことなの、いったい。 結婚がしたかったわけではない。  そもそも波瑠には結婚願望はなかった。しかし、恋人がいる幸福感は好きだった。好きという感情で包まれるあの感じは波瑠の渇きを癒した。だから、ずっと恋人が切れ目なくいた。  黒岩とは、新卒で入社して一年くらいしてからつきあい始め、気づいたら三年経っていた。つき合い始めたころのような情熱がないのは分かっていた。でもその代わりに親密な情みたいなものがあると、波瑠は思っていた。身体を求められるのも嬉しかった。愛情があると信じていたから。  ――だけど、身体だけだったのかもしれない。  皆に祝福され、赤ちゃんや娘たち、そして奥さんの写真を見せながら幸せそうな顔をしている黒岩を
last update最後更新 : 2026-06-03
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第3話 きれいな男の子と猫の名前
 ――思い出した。  昨日帰ったとき、この子たち拾ったんだったわ。  ……酔っていたから、なんか勢いで。「ここに置いてください」という言葉を聞いて驚きのあまり頭が働き、波瑠は昨夜の自分の行動を蘇らせることが出来た。 「にゃー」とまた猫が鳴いた。  波瑠はこめかみを抑えながら、彼らを見る。  ……しかし、ほんとうにきれいな顔。  そして、きれいな顔の彼は不安気な顔をしていた。 「あの……」 「あ、うん、今、思い出した。そう言えば、うちの前で拾ったのよね、昨日」 「はい」 「それで、ここに置いて欲しいっていうのは? どういうこと?」 「……僕、行く場所がなくて。こんなふうにぐっすり眠れたのも久しぶりで。僕、しばらく眠ることが出来なかったので、動けなくなってしまっていたんです。夜は寝てもすぐに目が覚めるんですけど、昨日はぐっすりと眠れて。……だから、おかしなお願いだとは分かっているんですけど、ここに置いてくれないかと思ったんです。突然変なこと言ってごめんなさい」 「……あなた、未成年よね? 私、犯罪者になりたくないけど」  既に今でも危ない、と波瑠は昨夜の自分を呪いたくなった。 「いいえ。僕、成人しています」 「え? いくつなの?」 「十九歳です。大学一年生です」 「嘘! てっきり高校生だと思ったわ!」 「違いますよ。大学生です。――これ、学生証です」  そういうと彼は学生証を波瑠に見せた。そこには、県内の国公立大学の名前と「羽田千颯」という名前と顔写真が載っていた。 波瑠は顔写真と目の前の人間の顔を見比べた。  うん、確かに同一人物ね。もっとも、現実の方がきれいな顔しているけれど。 「ねえ、えーと、羽田くん。こんな立派な大学に行っている人が、どうして帰る場所がないの?」 「……家にはちょっといられなくなってしまって……」  彼――羽田千颯はそう言うと、目を伏せ、長い睫毛が影を作った。手はきつく握りしめられている。  誰でも知っている国公立大学に行っていて、これほどの美しい容貌で。  羨ましいと思う人間は多いだろう。  だけど、彼は帰る場所がないと言う。  波瑠の脳裏に、自分の家族の姿が過った。  波瑠の両親と妹、弟は、波瑠とは別の場所に住んでいる。波瑠は祖母から譲り受けたこの平
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第4話 炊き立てごはんの塩にぎり
 ……なんか、いいにおいがする。  波瑠は自分のベッドで目を覚ました。  これ、ごはんの炊けるにおいだ。  ……ごはんの炊けるにおいなんて、久しぶり。――あれ?  波瑠はあることに気がついて、がばっと起きて、台所に行った。「波瑠さん」  台所では、千颯がおにぎりを作っているところだった。 「おにぎり……」 「あ、勝手にごめんなさい。……でも、僕お腹が空いて。で、波瑠さんもお腹が空いているかなって思って。台所を見たら、お米があったのでごはん炊いたんです」 「おにぎりは嬉しいよ。お腹空いたから。でも――炊飯器、なかったでしょう?」  波瑠はあるとき、炊飯器を捨ててしまったのだ。 「でも、土鍋があったから」 「土鍋で炊いたの?」 「はい。ネットで調べて」 「……おにぎり、食べていい?」 「どうぞ! 塩にぎりですけど」  千颯は顔を輝かせて、波瑠におにぎりの乗ったお皿を差し出した。  波瑠は少し丸いおにぎりを一つとると、ぱくりと食べた。  おいしい!  ……おばあちゃんのごはんの味がする。 「どうですか?」  波瑠が黙っていると、千颯が恐る恐る訊いた。 「……おいしい」  そう言った波瑠の目から、ぽろりと涙が一粒こぼれた。 「波瑠さん⁉ ど、どうしたんですか?」 「……おいしくて」 心が疲れたときは、おいしいものを食べるのが一番なんだよ。  それから、ぐっすりと眠ること!  ……おばあちゃん……。  千颯が作った塩にぎりは、亡き祖母の言葉を運んで来た。  波瑠は祖母を懐かしく思い出しながら、また一口おにぎりを食べた。おいしい。  最近、忙しくて、ごはんを作って食べることをさぼっていた。……だから、黒岩みたいな男に引っかかってしまうのだ。そして男の真意も見抜けず、嫌な思いをするのだ。「もう一つ、食べていい?」  波瑠は台所にある食卓の椅子に座ると、二個目のおにぎりを食べた。おいしい。土鍋で炊いたごはんのおにぎりって、本当においし
last update最後更新 : 2026-06-06
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