不毛なやり取りをテーマにしたゲームには、現実のコミュニケーションの難しさをシミュレートする独特の面白さがある。'The Stanley Parable'はその典型で、プレイヤーがナレーションの指示に従うか反抗するかで物語が分岐する。
一見無意味に見える選択の連続が、実は人間の自由意志について深い問いを投げかける。こうしたゲームは、日常で感じるもどかしさを安全に体験させてくれる。単純な操作の中に哲学的なテーマが潜んでいるのが魅力だ。最後には、自分がなぜその選択をしたのか考えるきっかけになる。
昨年見た『The Art of the Argument』というチャンネルの動画が印象的だった。
政治討論をテーマにしたパロディで、参加者が延々と「定義」について議論しているシーンが秀逸。具体例を挙げずに抽象論を繰り返す様子は、現実のネット論争を皮肉ったようで笑いが止まらなかった。特に「民主主義とは何か」という問いに対し、30分間誰も具体案を出さずに言葉の解釈だけを続ける展開は圧巻。
こうしたコンテンツの面白さは、無駄な議論の構造そのものをエンタメに昇華させるところにあると思う。