翻訳表現を選ぶとき、まずは感情の質と登場人物の年齢・性格を天秤にかける。
地団太はただ足を叩く動作以上に、じれったさや子どもっぽい悔しさ、時にはコミカルな怒りを伴う身振りだから、英語でもニュアンスに合わせて使い分けるのが肝心だ。
僕がよくおすすめするのは『stamp one's feet』と『stomp one's feet』の使い分けだ。前者は比較的中立で文語的、「He stamped his feet in frustration.」とすると落ち着いた描写にも使える。後者は音や勢いを強調した口語的表現で、漫画や台詞で勢いを出したいときに効果的だ。たとえば「She stomped her feet and refused to answer.」とすると感情の爆発感が伝わる。
翻訳の現場では、もっと子どもっぽい行動を示したい場合に『throw a tantrum』や『have a tantrum』も便利だ。これらは駄々をこねるニュアンスが強く、幼い登場人物に合う。一方で大人の軽い苛立ちを表現するなら『stomp around』や『stamp one's foot in annoyance』のように動作と感情を合わせて出すと自然になる。僕は文脈を読んで、舞台指示的にざっくり書くか、心理描写に寄せるかで選んでいる。結局、地団太を一語で固定するより、場面ごとに音の強弱や語感を調整するのが最適解だと感じている。