デヴィッド・スーシェの若かりし頃のキャリアを振り返ると、『The Duchess of Malfi』での圧倒的な演技が真っ先に思い浮かびます。1972年のロンドン舞台でウェブスターの古典劇を鮮烈に解釈し、批評家から「世代を定義するパフォーマンス」と称賛されました。
当時30代前半だった彼は、狂気と優雅さを併せ持つフェルディナンド役で、観客に深い心理的揺さぶりを与えました。衣装の襞ひとつにまでこだわった身体表現は、後の『プライベート・ライアン』や『007』シリーズでの洗練された悪役像の原型となっています。特に第二幕の蝋像モノローグは、今でも演劇学校の教材に使われるほどの完成度でした。