まず目を引くのはサイズ感と行動パターンの違いだ。ゲーム作品でおなじみの
マンドラゴラ系(例えば『ファイナルファンタジー』シリーズ)と映画のマンドレイクを比べると、ゲームは戦闘用モンスターとして攻撃動作やステータスを持たせるため、よりアクティブで攻撃的に描かれることが多い。一方で映画は物語内の道具立てとしての性格が強く、感情表現や物語的な役割を優先して動かされる。
あたしはこの違いがメディア固有の要請から生じると考えている。ゲームではプレイヤーが操作・対峙する相手としての設計が最優先されるため、マンドラゴラは攻撃パターンや弱点、ドロップアイテムなどが設定される。映画は逆に観客の情緒的反応を誘導することが主眼だから、マンドレイクの叫びや見た目、育て方の描写が脚本に合わせて調整される。結果として同じ「マンドレイク」という名称でも、目的と表現が違うことで受け手の印象は大きく変わる。
結局、どちらが「正しい」という話ではなく、媒体ごとの表現ルールに従って異なる顔を見せるという点が面白い。どの描写もそれぞれの狙いに合っていれば成功していると感じられる。