ページを繰るたびに世界の輪郭が少しずつ決まっていくのを感じる。僕が勧める順序は、まずシリーズの“導入”に当たる『
ウィスタリア:導かれし木』から入ることだ。ここは登場人物の関係性や主要な設定がコンパクトにまとまっていて、物語のトーンをつかむには最適だ。謎や伏線も程よく提示されるので、読み進めるモチベーションが保ちやすい。
次に触れてほしいのは時間軸を前に戻す外伝『ウィスタリア:黎明の章』だ。これは主人公たちの背景を深掘りする一冊で、本編を読み終えた後に読むと細かな描写の意味が腑に落ちる。順番を逆にすると、驚きの要素が薄れる場面もあるので注意が必要だ。
ラストは短編集『ウィスタリア短編集:葉隠れ』とイラスト集『ウィスタリアイラスト集:樹影』で余韻を楽しむのがいい。短編は脇役にスポットを当て、イラスト集は世界観の解像度を高めてくれる。こう並べると発見が連鎖して、読み終えたときに満足感が深くなるはずだ。