歩廊という独特な空間を舞台にした作品は、閉鎖的な緊張感と人間ドラマが交錯する面白さがありますね。『
屍鬼』の小説版では、孤立した村の廊下や路地が不気味な雰囲気を醸し出し、住民たちの心理描写と相まって息苦しいほどの臨場感が生まれています。藤本タツキの『チェンソーマン』でも、学校の渡り廊下でのバトルシーンが印象的で、狭い空間ならではの動きの制約が戦闘に独特の緊張感を加えています。
『Another』の
コミカライズ版では、階段や廊下が不審死の現場となることが多く、日常空間が恐怖の舞台に変貌する様が巧みに描かれています。特に雨の日の歩廊の描写は、水滴の音と足音が重なることで、読者の想像力をかき立てます。韓国漫画『サマータイムマシン・ブルース』でも、病院の長い廊下が時間のねじれを表現する重要なモチーフとして使われ、SF的要素と心理的圧迫感が見事に融合しています。
最近読んだ『暗殺教室』の廊下シーンは、一見すると普通の学園ものですが、殺人教室という設定が歩廊に潜む危険を全く違う角度から描いていて新鮮でした。特に廊下の突き当たりの視覚的効果を使った演出は、思わずページをめくる手が止まらなくなるほど。こうした作品群は、単なる通路としての歩廊を物語の重要な要素に昇華させる手腕が光ります。