中世ヨーロッパの文献や紋章を眺めると、斧が果たす象徴役割の変化がよく分かる。騎士叙事詩の系譜では剣と比べて斧は地域や階層に根ざした象徴となることが多く、『Song of Roland』のような作品群とは別の語彙で語られる場合がある。私は図像的証拠と写本注釈を組み合わせ、紋章学的記録や領主の記録と照合してモチーフの伝播経路を追うのが好きだ。
近東古代の図像や写本を手掛かりにすると、斧モチーフの伝播の複雑さが見えてくる。『Epic of Gilgamesh』のテキストや同時代の円筒印章には武具や儀礼具としての道具表現が残るが、図像と文言が必ずしも一対一で対応するわけではない。私は現地発掘報告と印章図像を突き合わせ、層位学的に時期を押さえつつ比較文化的に扱うことで、同じ基形が異なる意味で使われた具体例を見つけることが多かった。