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泉野といえば、あの独特の水彩画風の表紙が印象的だったよね。あらすじをざっくり言うと、『感情を水に変える少女』の物語。主人公が涙を流すと、それが実際に小さな泉になってしまうという設定がまず新鮮。最初は困惑するけど、次第にその能力を使って人々の悲しみを浄化していく。
特に印象深いのは、幼なじみの男の子が持つ『濁った感情の泉』を綺麗にしようとするエピソード。単なるファンタジーではなく、人間関係の複雑さを水のイメージで可視化したところが秀逸。ラスト近くの大洪水のシーンは、感情の爆発をこれ以上ない形で表現していた。
読んだ瞬間から引き込まれたのは、泉野の世界観の作り込み方だ。主人公の泉野みのりは、17歳の誕生日に突然、触れたものの記憶を水に読み取れる能力を覚醒させる。考古学を志す彼女は、この力を使って歴史上の謎を解き明かすことに。
しかし、能力を使いすぎると自分自身の記憶が水に溶け出してしまうというリスクがある。祖父の遺品の古い水瓶を調べるうちに、戦時中の隠された真実に辿り着く過程が胸を打つ。歴史の重みと個人の記憶の儚さを対比させた構成が、この小説の真骨頂と言えるだろう。
泉野の物語は、主人公・泉野が不思議な力に目覚めるファンタジー要素と、現代社会のリアルな葛藤が見事に融合した作品だ。主人公はある日、『泉』と呼ばれる異世界と現実を行き来する能力を得る。そこでは、彼女の感情が水の色となって現れるという独特の設定が魅力。
現実世界では、いじめや家庭問題に苦しむ普通の女子高生だが、泉の世界では自分の感情を『浄化』する使命を与えられる。二つの世界のバランスを保ちながら成長していく過程が、繊細な心理描写で描かれる。特に、怒りの感情が赤い泉に変わるシーンの表現は圧巻だった。
泉野は、水にまつわる日本各地の伝承をモチーフにした短編集のような構成が特徴。各章で異なる『水の怪異』が登場し、民俗学者の主人公がその謎を解いていく。例えば第三章の『涙の井戸』では、泣き続ける女性の霊と向き合い、近代化で失われた村落の歴史を掘り起こす。
超自然的な要素と、失われつつある地方の文化を結びつけたテーマが深く、読み終わった後も各エピソードの余韻が残る。特に雨の描写が多く、水の音が聞こえてくるような臨場感のある文章が印象的だった。
泉野シリーズの最新作では、前作の設定をさらに発展させて『水の記憶』をテーマに据えている。主人公が通う高校のプールが、過去の事故で亡くなった生徒たちの想いで満たされているという設定から物語は始まる。
特徴的なのは、水中でしか聞こえない『声』を書き写すという手法。古文書の解読を趣味とする主人公が、水に閉じ込められた言葉を解読していく過程で、学校の闇と向き合う。水の透明度が真相の明瞭さを暗示するなど、随所に工夫が凝らされた構成になっている。