古いシャンソンや詩的な歌詞を訳すときは、言葉の余韻や曖昧さを保つために直訳を避けることが多い。『La Vie en Rose』のような曲では、原語が持つ曖昧な主体や感覚的な比喩をどう日本語に残すかが鍵になる。私はまず詩的なイメージを抽出し、日本語で同等の情緒が出る表現を探す。直線的な説明にしてしまうと詩の香りが消えるため、言葉を削ぎ落として余白を残す訳し方を好む。
ゲームのローカライズで歌詞を扱うときは、表示文字数や同期時間など実務的な制約が最優先になる。『Song of Storms』のように短いループで何度も流れる曲では、一文字の違いが歌の聞こえ方に大きく影響するから、私は常に文字数制限内で最も情報量のある言葉を選ぶようにしている。歌手の発音しやすさ、字幕表示との整合性、ボイス演出の合間に収まるかどうかといった点も考慮する。