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芥川龍之介の文章には独特の衒学性が感じられる。『羅生門』や『地獄変』といった作品で、歴史的事実や古典文学をふんだんに引用しながら、それらをモダンな感覚で再構成する手法は圧巻だ。
彼の知識の披露は決して嫌味ではなく、むしろ物語の深みを増す装置として機能している。『歯車』のような私小説的作品でさえ、西洋哲学や美術への言及が自然に織り込まれ、読者を知的興奮に誘う。衒学を文学の高みまで昇華させた作家と言えるだろう。
筒井康隆の作品には知的な遊び心が溢れている。『時をかける少女』のようなSFから『文学部唯野教授』のようなメタフィクションまで、古今東西の文献を自在に参照するスタイルは独特だ。専門用語や難解な概念を扱いながら、どこかユーモラスに崩す手腕はさすがとしか言いようがない。特に『虚人たち』シリーズでは、哲学書のパロディとポップカルチャーが渾然一体となって、衒学的でありながら奇妙な親しみやすさを生み出している。
森鴎外の『ヰタ・セクスアリス』を読むと、医学からドイツ文学まで縦横無尽に展開される教養の深さに驚かされる。当時の読者にとっては相当難解だっただろうが、現代から見るとその知識の使い方がむしろ新鮮に映る。
鴎外がドイツ留学で得た専門知識を、あえて日本語の美文調で表現したところに真骨頂がある。『青年』のような作品でも、哲学議論を会話に自然に溶け込ませる手腕は、衒学の域を超えて一種の芸術と言える。
ボルヘスって知ってる?アルゼンチンの作家だけど、『千の一夜』からカバラ思想まで縦横無尽に引用する作風はまさに衒学的の極み。『伝奇集』なんか読むと、架空の書物について延々と語ってるのに、なぜか引き込まれるんだよね。難解なテーマをこれほどエレガントに扱える作家はそういない。短編なのに百科事典みたいな密度で、毎回新しい発見があるのがたまらない。