その手の“
内々に追加された未発表曲”の噂には、必ずしも一枚岩の真実が隠れているわけではない。現場で得られる断片情報、ファイルのメタデータ、そして公式発表の有無が混ざり合って、真偽の判定が難しくなることが多い。まず私が最初にやるのは、公式ディスコグラフィーやレーベルのリリースノート、CDや配信のライナーノーツを徹底的に確認することだ。多くの場合、正式に追加された曲はどこかに記録が残るからだ。
次に権利管理データベースを当たる。日本ならJASRAC、海外ならASCAPやBMI、ISRCコードの有無を調べると、正式な登録がされているかどうか分かる。私が過去に確認したときは、ある映画サウンドトラックで未公開扱いのトラックがISRCで登録されており、内部でしか流れていなかった事情が明らかになったことがある(例として『シン・ゴジラ』の関連資料を当たった経験がある)。
最後にソーシャルソースと直接確認だ。作曲家やオーケストラのメンバー、レーベル担当者がソーシャルで小さな言及をしていることがあるので、文脈を慎重に読む。音源そのものが流出している場合、音声の質やマスタリングの差、メタタグ、ISRCの有無で偽か本物かを推し量ることができる。ただし、内部資料や未公開曲は法的・倫理的配慮が必要で、軽率に拡散すると関係者に迷惑がかかるから、確認の際は節度を持って行動している。