冷めきった夫婦関係は離婚すべき

冷めきった夫婦関係は離婚すべき

作家:  玉酒たった今更新されました
言語: Japanese
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概要

現代

離婚

CEO・社長・御曹司

成長

傲慢

三年間の結婚生活で、陸川和彦(りくかわ かずひこ)は、常に彼女を見下すように冷たく接していた。 だが、水村美穂(みずむら みほ)は気にしなかった。彼が好きだったから。 しかし彼の心には最初から別の女性がいた。 その女性のために替え玉まで用意し、美穂の存在を隠して自由気ままに遊んでいた。 それでも美穂は手放さず、黙って耐え続け、いつか彼が振り返ってくれると信じていた。 結婚記念日、彼女は早々に実家に戻って記念日の準備をしていた。しかし彼は、帰国した初恋を迎えるために、美穂を義家族の嫌がらせの中に一人置き去りにした。 その上、替え玉の女は妊娠検査の結果を得意げに見せつけてきた。 美穂はついに限界を迎えた。 妊娠したら、勝手に産めばいい。初恋が帰ってきたのなら、それも好きにすればいい。彼女はもうそんなことを気にしなくなった。 美穂は離婚協議書を用意し、和彦が接待を終えて酔っている間に署名を取った。そして、待ちきれずに深夜の便で港市へ戻り、もう彼に関わることは一切気にしないと決めていた。 再び仕事に戻り、趣味も再開した彼女は、わずか一年で、陰に隠れて知られなかった陸川家の若奥様から、業界で誰もが敬服する商界の新星へと成長した。 再会した際、彼女は落ち着いた態度で、彼に離婚届の提出を求めた。 だが、彼は離婚届を出しに行かず、当初は疎遠で冷淡だった彼女への態度も、次第に粘り強さを増していった。 そして、彼が無意識のうちに離婚協議書に署名していたことを知った。 嵐の夜、いつもは清潔で気品ある彼が荒々しい一面を見せ、彼女の腰に手を回して言った。 「美穂、やってないことは認めない」

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第1話

第1話

「和彦、もう一回できる?」

窓際の自分の影をしばらく見つめながら、水村美穂(みずむら みほ)はゆっくりと口を開いた。声はおだやかで優しかった。

後ろに立っていた陸川和彦(りくかわ かずひこ)はコートを羽織り、だらしなく開いた襟元から、赤く染まったくっきりとした鎖骨がのぞいていた。

ボタンを留めていた手を止め、彼は整った眉をわずかに伏せてから、問い返した。

「そんなに乗り気か?」

二人が結婚してもうすぐ三年だ。会うことはめったになく、会っても淡々と過ぎるだけで、体を重ねる回数も指折り数えるほどだった。

やがて、一緒に食事をしたら、それぞれの部屋に戻るだけになってしまった。

だから美穂がもう一回と言い出したとき、和彦は少し驚いた。

彼の黒い瞳に、一瞬だけ真剣な色が宿った。

美穂は指をぎゅっと丸めて、服の裾を揉むと、シワを摘みながら視線をそらした。

滅多に見せない恥じらいの仕草が、男の中に眠っていた衝動をかき立てた。

天井のライトが、淡く光の輪を作った。

肝心なときに、美穂は唇の端を噛み、小さな声で言った。

「その……ゴム無しで、いい?」

男の動きがピタリと止まった。

情熱にあふれていた部屋が、一瞬で凍りついたように静まり返った。

美穂はそっと目を閉じ、両手を男の肩に添えた。張り詰めた弓のように緊張した背中が震え、そこには戸惑いがにじんでいた。

しばらくして、男の低く冷たい声が耳に届いた。

「理由は?」

まさに彼らしい淡々とした口調で、冷酷無情な態度だった。

「お義母様が、孫の顔見たいって」

美穂の声はかすかで、唇の端は噛んで少し痛んでいた。そして、間を置いてから、落ち着いた口調で言った。

「知彦、私たち、もう結婚して三年よ」

彼女は彼を注意している。

陸川家は立派な名家だ。そして、和彦はその長男だ。彼は今年で二十八歳になるが、まだ跡取りはいない。

美穂の脳裏に、新婚初夜のことがよみがえった。

彼が一番親密なことをしている最中にもかかわらず、子供なんて欲しくないと冷たく言い放った。

まるで冷水が頭から浴びせられたように、彼女の満ちあふれる熱意を打ち消した。

彼女という政略結婚の相手が嫌いだから、その子供までも嫌っているのだ。

だが、彼女にはどうすることもできなかった。

なぜなら、和彦は幼い頃から彼女がずっと恋い慕っていた人だから。

もう嫁いでしまった以上、両家の利益は絡み合っている。彼女は今さら後戻りなんてできなかった。

虚しさが押し寄せてきて、美穂は慌てて気を取り直した。

彼女は疲れ切った体を支えて、座り上がった。滝のような黒髪がしなやかに白皙の背中を覆い、前に垂れている数本の髪が、かろうじてまだらな赤い痕を隠していた。

男は背を向けてベッドを降り、その長身でライトの光を遮った。

彼女は薄暗い影に包まれ、まるで存在感のない空気のように静かだ。

ゆっくりと服を着直した和彦は、うつむいたまま、端正でくっきりとした横顔を見せ、骨ばった手で眼鏡を取り上げてかけた。

銀色の細長いフレームが美しい眉骨にちょうどかかり、いくぶん上品さを際立たせていた。

「美穂」

和彦は袖口を整え、そのきっちりとした袖口の縁からは圧迫感が漂っていた。

彼は冷たく見下ろし、ぼんやりしている女性を淡々と睨みつけた。

「結婚前に言ったはずだ。欲張らない方がいいって」

「そんなんじゃない!ただ……」

美穂は思わず反論した。

彼女は本当に欲張ることなどしていない。この三年間、彼のルールはしっかり守ってきた。

「お義母様の催促がきつくて、どうしようもなかったの」

美穂は布団を握りしめ、指先が深く食い込んだ。力を入れすぎたせいで、手がわずかに青白くなっていた。

「お義母様に説明してくれるなら、私だってそう言わなかったわ」

和彦は眉をわずかにひそめ、美穂を見つめた。

真っ白な布団が丸まって、女性の細い腰を包み込んだ。

美穂の美しい頸はそっと上を向いたまま、みずみずしい瞳にはかすかな涙がたまっていた。

悔しさを湛えながらも、彼女は真剣なまなざしで彼を見つめている。

和彦は視線を下げ、じっと二秒見つめた後、低い声で言った。

「わかった」

そう言い残し、彼はそのまま出ていった。

カチャッという音とともに、寝室のドアが開き、そしてまた閉じられた。

男の冷たい言葉だけが、耳の奥に残った。

美穂の身体に残っていた温もりが、じわじわと失われていく。目元に溜まった涙が、ぽろぽろと大粒で落ちた。

ほんの一瞬のうちに、彼女は一応冷静な表情を保ちながら、涙の跡を拭って、手のひらで顔を覆った。

和彦と結婚すると知ったとき、彼女はあんなに嬉しかった。

なのに、どうしてこんな風になってしまった?

長い時間が過ぎ、気持ちが少し落ち着いた頃、美穂は重い足取りで洗面所へ向かった。それから、散らかった寝室を片付けた。

陸川家の大奥様である陸川華子(りくかわ はなこ)が二人の仲を深めさせようと、使用人を雇ってくれなかったため、家のことはすべて美穂の仕事だ。

どうにか眠れるだけのスペースを確保すると、美穂は力尽きてベッドに身を投げた。

彼女は目を閉じ、眠ろうとした瞬間、スマホの着信音が鳴り響いた。二秒ほど迷ってから、観念するように目を開けた。

「若奥様、大変です!社長と秦家次女の親密な写真を撮られました。すでにニュースになってます!」

美穂は一瞬、固まった。

電話の相手は和彦の秘書だった。

思考が止まる中、小林(こばやし)秘書の声が続いた。

「星エンターテイメントが撮った写真です。秦家次女が社長をホテルへ連れて行く場面です。角度がかなり親密に見えます……」

外では稲光が走り、窓ガラスに映った美穂の顔が青白く浮かび上がった。鎖骨の噛み跡だけが、やけに赤く目立っていた。

美穂はスマホを握りしめ、爪がシルクのシーツを引っかく音が響いている。

「今どれくらい拡散してる?広報部に連絡して、三つのプランを用意させて。まずはトレンドから削除して、それから声明を出して……」

土砂降りの雨が窓を叩く音が、彼女の最後の言葉をかき消した。

美穂は窓辺に歩み寄り、視線を落とすと、庭に咲いていた櫻の花が、嵐に吹き飛ばされ、無残な姿をさらしていた。

まるで、彼女がベッドサイドの一番奥に隠していた検査結果のように……

昨日、子宮筋腫と診断された時、医師に「放っておくと妊娠に影響するかもしれません」と言われた。

彼女は医師に聞いたのだ。

早期なら妊娠できるが、手術すれば、一年は性行為も妊娠もできなくなる。

「若奥様?」

沈黙に耐えかねて、小林秘書がそっと聞いた。

「社長にも知らせますか?」

美穂の指先は、冷たい窓枠の上で縮こまっている。

彼女は三時間前、和彦が離れる際の表情を思い出した。その表情、冷たかった。

「いいわ」

彼女は最も穏やかで冷静な口調で話した。

「彼の仕事の邪魔をしないで」

通話を切ると、スマホの画面が光り、ロック画面の写真が浮かび上がった。

それは昨年の家族の宴で、華子に強要されて撮られたものだった。

和彦は少し親しげに彼女の肩を抱きながら、端正な顔立ちにかすかな微笑みを浮かべていた。しかし、その笑みは心からのものではなかった。

スマホがまるで手のひらを焼くかのように熱く感じられ、美穂は思わず手を振って放り出した。

直後、また電話が鳴った。見慣れた本家の番号だった。

美穂は全身がかすかに震え、歯を食いしばってから、ようやく落ち着いて応答ボタンを押した。

「若奥様、大奥様が明朝、本家に来てほしいとおっしゃってます。あなたの朝食が恋しいそうです」

深夜二時を過ぎても眠れていない。

どうやら、和彦が秦莉々(はた りり)と夜に会ったというスキャンダルを聞き、美穂に問いただすつもりでいるようだった。

果てしない疲労感が心を押し寄せる中、美穂は長いまつげを伏せたまま、瞳の奥に複雑な感情を漂わせ、小声で応えた。

「わかった」

そう言い終わると、通話が切れた。

寝室に、静寂が戻った。

しばらくして、美穂は低くため息をついた。もはや眠気はなく、彼女は起き上がると、華子が指定した朝食の準備に取りかかった。

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