LOGIN結婚して3年が経ってしまったことを気にしていたが、ついに妊娠が発覚し天にも昇る気分だった主人公西条サラ。どうやって夫に伝えようかとか考えていたが、思いもよらないことが。救急で夫の義妹(多分)が夫の付き添いで運ばれてきた。 夫は仕事中の時間のハズ。 加えて、「お子さんの命は守れません」という医師の声。 夫とその義妹との不適切な関係が頭をよぎってしまい、どうしても以前のように生活できなくなってしまった。100%夫を信頼できなくなってしまった。 そんなサラは親友の澄香を頼ってついには家出をしてしまう。
View More「妊……妊娠した……」
その医師の言葉はまるで雷に打つかのように私の心を打った。涙が止まらず、妊娠を証明する紙を胸に抱きながらも私の手は微かに震え、顔には抑えきれない喜びが溢れていた。
「うふふ、そんなに喜んで。なんだかこっちまで幸せな気分よ?おめでとう!西条さん!」
私が『西条』になってもう3年。
子供はできないのか?とか言われ、時には私の体に問題があるんじゃないかとか中傷を受けたりもしたけれども、ついに、妊娠を!
ついに私も母になるんだ!
この喜び(地に足がついているのかわからないような、頭の奥でファンファーレが聞こえるような)を一刻も早く彼…じゃなくて夫に伝えたくて仕方がなかった。彼だって一緒に中傷されたりしてきたんだから。
―――西条孝之、私の夫。彼がこの知らせを聞いた時の表情を思い浮かべ、胸の鼓動は速まり、飛び出そうだった。
(喜んでくれるよね?だって二人の子供だもの!)
でも、喜びに満ち満ちながらも診察室を飛び出した瞬間、息が止まるかと思った。
え?別人?…だよね?そうに決まってる。
夫(仮)が金髪の女性をかけて救急室に駆け込んでいた。その声は夫そのもので別人疑惑がなくなった。あの女性は……まさか、彼の義妹・西条澪?
義妹なの?なんで彼が救急で?今、仕事中だったんじゃないの?
ナンデ?
心臓がぎゅっと締め付けられ、全身が硬直する。次の瞬間、医師から鋭い声が院内に響き渡った。
「お子さんは守れません……」
義妹と誰の子供なの?と心臓が激しく揺さぶられ、全身が硬直する。前代未聞の衝撃と疑念に包まれた。彼と義妹の関係はどうなってるの?兄妹よね?だって……そういうふうに紹介された……。
こんなにストレスだらけだと妊娠した母体に悪いのは頭では理解してるけど、現実がのん気になどしていられない。私はどうすればいいのだろう?
病院の無機質な空気が私の心を癒すことはなかった。
「初めまして。僕は前川透です」透君は挨拶をきちんとできた。うちの母は男の子が欲しかったらしく、大歓迎だった。「あらあら、可愛い男の子!いらっしゃい。お菓子もあるのよ?たくさん食べてね?」なんかドキドキ恐縮してるけど、澄香が「行ってらっしゃい」と言って送り出した。結局、私と孝之さんの復縁の話は二人で何とかすることに。(明子は早々と連れ去られました)「僕の義妹は精神病棟に入っているので金輪際出てくることはないでしょう。それと、僕の父が正式に離婚をしたので義妹でもなんでもないです。ただの他人です。今更付きまとわれても、警察に突き出すだけです」「事件の事はワイドショーで知ってるが……。義妹の話が片付いて、サラが望むなら私の方から言う事はない!それよりも…明子はどこだ?」「はいはい、明子ちゃんも透君と一緒になってお菓子を食べていますよ?きちんと乳幼児でも食べられるものですからね!」「っ!?、明子っ、口の周りがっ、汚れているじゃないかっ!清潔なタオルをっ。いや、ペーパータオルの方がいいか?」「……本当ね。あのオジサンがあんなに狼狽えて。いっつも怖かったのに。透?夕飯が食べられなくなるからほどほどにするのよ?」「はーい」「あい」「あぁ、明子が言葉を話した。‘じいじ’と言ってごらん?」「お父さん…濁音の発音はなかなか難しいのよ。気長に待ってよ」「うちの透も‘じいじ’って言うのは遅かったから」「明子は天才かもしれないじゃないか‼」「サラ……どうするの?爺バカが爆誕してるわよ?」「ハハハ」私は笑うしかなかった。こんな風に平和に生活できて今は私は幸せです。復縁か否か?それはあんまり関係ないみたいです。こうやって生活できてる方が幸せみたい。
澪が精神病棟に入っていることで、私と明子は実に平和に暮らすことができた。ちょっとしたトラブルでも澄香のところの透君がナイトをしてくれるので助かっている。「このままいくと、サラは孝之さんと復縁という事になるけど?」「そうね。澪もいないし、姑もいないからいいかなぁ?って思ったりする。それにほら、西条の方はまだ明子を見たことないのよ」「ああ、父方の祖父?」「そうそう」「祖父的に会いたいかなぁ?って思ったりね。うちの父がデロデロだったから」「あのお父さんが?いっつも眉間に皺が寄ってて怖い感じのオジサンなのに?」「うん、もうデロデロ激アマ」「うわ~、想像できない!」「うーん、だから西条のお義父さんも明子に会いたいんじゃないかな?と思ってね」「なるほどね」「復縁にはうちの父の許可が必要そうだけど……」「難関ね」澄香の家でお話をしていた。井戸端会議と言うんだろうか?屋内だから違うのかな?「それなら、僕がなんとかする‼」透君が張り切ってるけど、なんとかなるの?どうやって?「僕が西条のオバサンのお父さんとお話する!西条のオバサンがオジサンとまた一緒に暮らせるように説得する‼」子供相手に逆ギレみたいなことはできないし、無邪気なお願いを無下にするのも……。「うーん、透君にお願いしてみようかな?怖くなったらいつでも交代するからね?」「大丈夫だよ!西条のオバサンのお父さんだもん。いい人でしょ?」見た目が怖い人だよ……。私と孝之さんと明子、澄香と透君の5人で鈴井の家に行くことにした。「任せてよ!僕が何とかするから‼」とナイトの透君は自信たっぷりだった。その自信は初めて私の両親に会ってもろくも崩れ去った……。
私は事件で澪が起こした事を知った。澪が孝之さんを刺した。と。澪は精神病院にお世話になる事になったという事を。「これ……私は、孝之さんの見舞いに行った方がいいかなぁ?」「あー、ダメダメ。サラと孝之さんとその義妹の関係がワイドショーで面白おかしく取り上げられてる時に、サラが病院に顔出したらまた大騒ぎよ?やめとくのが正解ね。Lineでも送っておいたら?」「そうだった。ワイドショーって怖いわね。個人情報が駄々洩れ……。これでまぁ、澪が私たちにまとわりつく事もなくなったかなぁ」「そうね」後日、孝之さんのご両親とお話をすることとなった。なんでだろう?「貴女がサラさんね。単刀直入に言うわ。貴女は孝之さんに相応しくないのよ。離婚してちょうだい」3年も結婚していていまさら何?「お義父さんはどうお考えですか?」「俺はなんでこいつがいきなりこんなことを言い出すようになったのかわからない。今日だって、サラさんと会いたいって言いだしたのはこいつだ」何?何なの?「お義母さんにお聞きしますが、どのような方が孝之さんに相応しい方ですか?」「え?とりあえず貴女じゃない方かしら?」「つまり、私が嫌だと。そういうわけですね。だそうですよ、お義父さん?」「なんだそれは?澪がいなくなったことが原因か?澪がいなくなったのはサラさんのせいじゃないだろう?何をわけわからないことを言っているんだ?」「すみませんが、私は結構忙しい方なので退席させていただきます」なんてくだらない面会だったんだろう?身構えて出席したというのに馬鹿みたいだわ。「貴女のせいなのよ。澪がいなくなったのも、孝之さんに詰られたのも・・・」そう言ったお義母さんの手には包丁が……。似たもの親子というんだろうか?私は刺される寸前とっさに持っていたハンドバックで防御をしたので、その刃先はハンドバッグに刺さった。「お前はなんてことを……。サラさん、ケガはないかい?」「ええ、それよりも。この方、警察へ。殺人未遂ですね。私が防御したからいいものの。防御しなければ体に包丁が刺さっていましたから」今考えると、恐ろしいことだ。お義母さんも殺人未遂の現行犯で逮捕された。もうお義母さんではないですね。お義父さんは離婚をすることにしたそうです。このことは澪を喜ばせるでしょうが、精神病棟から出ることはできないので脅威でもなん
私は兄さんのことだけをずっと想ってきたのに…兄さんは違ったの?兄さんは…兄さんは…。ニイサン モ ワタシ ノ コト ヲ オモッテクレテイル今思うと澪の僕への執着は尋常ではなかったと思う。澪は精神に異常をきたしていたのか……。僕がこの身で証明するまで他の家族は気が付かなかったというのはどういう事だろう?家の恥だからと放置したのだろうか?最悪の事態を招いてしまったのでは?澪はその手に持っていた包丁で僕の腹部を刺した。「コレ デ ニイサン ハ ワタシ ノ モノ。ワタシ ダケ ノ ニイサン。ワタシ ダケ・・・」澪の両手は僕の血で紅く染まっていたが、澪は恍惚とした表情をしていた。僕は徐々に意識を失ったが、失う前に救急車と警察を呼んでいた。あとから知ったのだが、澪には殺人未遂の現行犯ということで逮捕され、現在は留置場にいるらしい。僕は一命をとりとめ、僕の両親に澪のことを問い詰めた。「いやぁ、澪が孝之のことを想っているのは知っていたんだけど、これほどとは思わなかったよ」「まさか義兄妹だし、どうこうって思わないじゃない?」などと、両親は言った。「僕は死にかけたんだぞ‼それで済む話じゃないだろう?」「孝之には悪かったよ。澪は精神に障害があるとして、精神病院に生涯入ってもらうことになる」サラに絶対に近寄らなくなったのでいいと言えばいいことなのだが、僕は全治半年を言われている。「半年で済むならいいじゃないか!死ぬかもしれなかったんだし、一生介護だったかもしれないんだからな」僕の両親は結果だけでそう言うが、澪をこうなるまで放っておいた責任は重いと僕は考えている。義母の責任は重い。「僕は貴女を許すことができません。義理の母として僕をここまで育ててくれたことは感謝しますが、澪を放任してしまったことは看過できないことです」厳しいかもしれないが事実だ。義母は涙を流している。義理の息子にここまで言われたことに対して悲しかったのだろうか?悔しかったのだろうか?「私は孝之さんを実の息子と思って育ててきたのに、こんな裏切りのような言葉をかけられると思わなかった」「それを言うなら、僕は澪を実の妹と思って育ってきたのに、こんな目に遭わされると思わなかったですよ。誰の責任でしょう?澪だけの責任でしょうか?」