「さぁ、効いてきたかな」
畳の上に正座させられた椎名は、酷く汗を浮かべて籐の椅子に座るルキに頭を垂れていた。
自制心を失い、かなり酔う薬を投与された。全身が脱力し、思考能力を奪う。それは嘘や誤魔化しを考えることも出来ないほどの威力だった。 畳の感覚さえふわふわして目が回るが、それでも椎名は気力だけで土下座している。「出……過ぎた真似を、しました…… ! 」
「そうじゃないよ。
まず、休みの日にどうして椎名はケイを付け回してたの ? 」「っ…… ! ま、まさか ! つけ回すなんて !
た……ただの通りすがりです。駐車場にパトがいた事に気付いて…… ! 」「本当に ? 」
立ち上がったルキがコルセットから細いワイヤーのような物を抜く。それはしなりのある金属で、刃は無いものの凶器であることに変わりは無い。
「ルキ様 ! ほ、本当です ! 」
ルキが思い切り椎名の背を打ち付ける。
バチィッと言う音と共に、椎名は悶絶し畳に崩れた。ワイシャツが一度で大きく裂け、血が滲んでいく。それでもまだ降り続く鞭。「ふっごっ…… !! がぁっ !! …… っ!! 」
「スミスに確認したけどさぁ、今日出かけたのは北湊の浜沿いだよね ? この旅館は西湊駅前。どうして東湊の蛍の家にいたのか。納得出来ないんだよねぇ」
再び振り下ろされるベルト。椎名のシャツが破れ所々、血が滲んできた。
「ほう……報告……の、通り…………です……。この狭い湊周辺、北から東に南下して……ドライブ中、たまたま……なんです ! 」