ベルリが声のした方へ顔を向けると、そこには若い男が立っていた。
白混じりの黒髪という珍しい髪色をした男で、全身黒の軽装をしている。
(どう見ても戦闘職に見えない、魔法師か?)
更に奥を見るとフードを被った2人組が控えている。
こちらは完全に顔も性別も分からない。
(不気味だな)
警戒しながらベルリはその3人に話しかける。
「なんだあんたら?今ちょっと忙しいんだ。すぐ終わらせるから用があるならちょっと待っててくれねぇか?」
その言葉に中央のニイルが答える。
「いえ、私達が用があるのはそちらの娘でしてね?返してもらいに来たのですよ」
そう言いながら青年が指を鳴らした直後、ベルリの足元に居たはずのレイが消え、後ろのフードの1人に抱き抱えられていた。
「は?」
「はい、ありがとうランシュ。さて、どうやら無事の様ですね?如何でしたか?強敵との戦いは」
惚けるベルリを置き去りに、これまた惚けているレイに質問をするニイル。
「ニイル、なんでここに?」
質問に質問を返してきたレイに、ニイルは呆れながら答えた。
「言ったでしょう?そちらに向かうと。我を忘れるから師匠の言葉も忘れるのです、この馬鹿弟子。」
その言葉にうっ…と唸りながら縮こまるレイ