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師匠としての矜恃

مؤلف: 一一
last update آخر تحديث: 2025-06-25 21:00:00

ベルリが声のした方へ顔を向けると、そこには若い男が立っていた。

白混じりの黒髪という珍しい髪色をした男で、全身黒の軽装をしている。

(どう見ても戦闘職に見えない、魔法師か?)

更に奥を見るとフードを被った2人組が控えている。

こちらは完全に顔も性別も分からない。

(不気味だな)

警戒しながらベルリはその3人に話しかける。

「なんだあんたら?今ちょっと忙しいんだ。すぐ終わらせるから用があるならちょっと待っててくれねぇか?」

その言葉に中央のニイルが答える。

「いえ、私達が用があるのはそちらの娘でしてね?返してもらいに来たのですよ」

そう言いながら青年が指を鳴らした直後、ベルリの足元に居たはずのレイが消え、後ろのフードの1人に抱き抱えられていた。

「は?」

「はい、ありがとうランシュ。さて、どうやら無事の様ですね?如何でしたか?強敵との戦いは」

惚けるベルリを置き去りに、これまた惚けているレイに質問をするニイル。

「ニイル、なんでここに?」

質問に質問を返してきたレイに、ニイルは呆れながら答えた。

「言ったでしょう?そちらに向かうと。我を忘れるから師匠の言葉も忘れるのです、この馬鹿弟子。」

その言葉にうっ…と唸りながら縮こまるレイ

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  • バケモノが愛したこの世界   新たなる門出

    ベルリとの戦いから4日が経過した。現在レイ達4人は、かつてザジとレイが住んでいた家に居る。ザジが死んでから誰も手入れをしていなかったのだろう。家具等は埃を被り、傷んでいる所も多数。周囲も雑草が生い茂り、荒れ果てていた。1日かけて4人で手分けをし、人が住める様になったのが昨日の事である。そして今日、今まで居た宿から荷物を全て持ち出し、当分の拠点として一先ずの完成を見たのであった。「さて、それでは今後の事について話をしましょう」一段落し、ランシュが入れてくれたお茶を飲みながら、ニイルが切り出した。それを受け、レイは何故ここに居るのか、その原因であるここ数日の事を思い返していた。あの戦闘の直後、レイは魔力枯渇で意識を失い、いつもの宿屋に運ばれた。治癒魔法にて体の怪我は治ったが、魔力の方は完全に戻らず、翌日も安静を余儀なくされたのだった。その夜、合流したニイルがレイにこんな事を言ってきた。曰く…「この国、と言いますかルエルですね。彼が私達を探している」と。「あの時、あの周辺には私達しか居ませんでした。更にダンジョン外から中に干渉できる魔法は存在しません。盗聴や監視も出来ない状況で考えられる可能性は1つ、恐らくあの戦闘の生き残りでしょう。そいつが戻り、ルエルに報告したと思われます」

  • バケモノが愛したこの世界   師匠としての矜恃

    ベルリが声のした方へ顔を向けると、そこには若い男が立っていた。白混じりの黒髪という珍しい髪色をした男で、全身黒の軽装をしている。(どう見ても戦闘職に見えない、魔法師か?)更に奥を見るとフードを被った2人組が控えている。こちらは完全に顔も性別も分からない。(不気味だな)警戒しながらベルリはその3人に話しかける。「なんだあんたら?今ちょっと忙しいんだ。すぐ終わらせるから用があるならちょっと待っててくれねぇか?」その言葉に中央のニイルが答える。「いえ、私達が用があるのはそちらの娘でしてね?返してもらいに来たのですよ」そう言いながら青年が指を鳴らした直後、ベルリの足元に居たはずのレイが消え、後ろのフードの1人に抱き抱えられていた。「は?」「はい、ありがとうランシュ。さて、どうやら無事の様ですね?如何でしたか?強敵との戦いは」惚けるベルリを置き去りに、これまた惚けているレイに質問をするニイル。「ニイル、なんでここに?」質問に質問を返してきたレイに、ニイルは呆れながら答えた。「言ったでしょう?そちらに向かうと。我を忘れるから師匠の言葉も忘れるのです、この馬鹿弟子。」その言葉にうっ…と唸りながら縮こまるレイ

  • バケモノが愛したこの世界   神性付与保持者

    「神性付与ギフト?」聞いた事のない単語に訝しむレイ、だがハッタリで無い事だけは確かだ。何せ先程までと明らかに重圧プレッシャーが違う。「裏の界隈じゃ有名だぜ?神に選ばれた方々から賜る特別な加護、それが神性付与ギフトだ。俺は偉大なるルエル様より賜ったのさ!」確かにレイは、裏社会に精通している訳では無い。しかし仮にも、今まで生き抜く為に裏も利用してきた、いわゆる善良な一般市民とは違う。その自分すらも知らないという事は、余程重要な意味合いを持つのであろうという事は容易に想像が出来た。「これを使うのも随分と久しぶりだ!それこそ人間相手に使わねぇからな!以前使ったのは同じ神性付与保持者セルヴィと小競り合いした時以来か!」こんな力を振るう人間が、他にも居るというのか。目の前に居るだけでも鳥肌が止まらない。しかしこちらも時間が無い、相手の能力が分からない以上危険ではあるが、対応するより速く決着をつける。そう結論付け、一気に間合いを詰めたレイだが…「ぐっ…!」ベルリに近付いた

  • バケモノが愛したこの世界   ケダモノとバケモノ

    「ルエル?」理性が止まれと訴える。「ルエルと言ったか?」理性が戻れと警鐘を鳴らす。「それはこの国の宰相の…」しかし感情が、本能が、止まることを許してくれなくて。「ルエル・レオ・ナヴィスタスの事か?」目の前が真っ赤に染まったと錯覚する程に、憎悪の炎がレイを突き動かしていた。「なんだぁ?このガキ。ルエル様だろうが。何呼び捨てにしてやがんだ」そんなレイにベルリは吐き捨てる様に言った。「ですがこの女、結構上玉ですぜベルリ様!捕らえて売ればいい金になりそうじゃないですか?」「よく考えろザギ。こんな所に1人な訳ねぇだろ。どっかに仲間が隠れてるに違ぇねぇ」「ならよダル?その仲間も一緒に売っぱらっちまえば更に儲けもんじゃねぇか?」ザギとダル、そう呼び合っていた取り巻き2人が話しているが、レイの耳には届かない。「答えろ。ルエルとは10年前エレナート王国を滅ぼした男か?」その問に少し考えた後、ようやく思い出したという風にベルリが声を上げた。

  • バケモノが愛したこの世界   かつて交わした約束

    レイが1人でダンジョン攻略を行っている頃、ニイルは1人別行動をとっていた。ここはズィーア大陸から少し離れたテデア大陸、その辺境の地の森の中である。そこにひっそりと一軒家が建っているが、今は人が住んでいる気配は無い。代わりにその家の横にニイルが以前来た時見なかった、小石を縦に積んだオブジェの様な物が出来ていた。ここはかつて、世界を巡る旅をしていた3人がたまたま見つけ、そして出会った人物が住んでいた場所だった。当時は何故こんな人里離れた所に住んでるのかと思ったが、最近になり結構な有名人と判明した今なら、人目を避けるように隠れていたのも首肯ける。「よう爺さん、20年来の約束を果たしに来たぜ」そう言って以前聞いた特徴と一致するオブジェの前にしゃがみこみ、ニイルが言う。そう、ここは1年前までレイと、その師匠であるザジが住んでいた場所だった。この1ヶ月の間にレイからザジの話を聞き、やって来たのだ。ちなみにこのオブジェの様な物はレイが作ったお墓で、この下にはザジが眠っているそうだ。レイは持ってきた酒瓶を開け、その墓にかけ始める。「この酒、あんたの愛弟子が言っていたが好きなんだってな?会った時から安酒をバカスカ飲む酒豪だったが、死ぬまでそれは変わらんかったのか」少し苦笑しながら話しかけるニイル。その脳裏にはかつて出会った時の記憶が蘇ってきていた。

  • バケモノが愛したこの世界   不意の遭遇

    ニイルによる地獄の特訓が始まって1ヶ月が過ぎた。最初の頃はすぐに魔力切れを起こしていたレイだが、次第に魔力切れを起こしにくくなっていった。また、肉体の疲労や魔力が回復しきっていない時は座学にも取り組んでおり、魔法に対する知識も、実践で咄嗟に使用出来る程身につけるに至った。おかげで装填魔法使用時も、30%なら5分間活動出来る様になり、今は出力、活動時間の向上を目標に修行を重ねている。(復讐の為なら何でも出来ると意気込んでいた私でさえ、心が折れかけたなぁ…)と、魔力切れを起こしては気絶し、ランシュにボコボコにされては嘔吐し、食欲が無くても無理矢理食べさせられていた最初の頃を思い出しレイは遠い目をした。今ではそこまで酷い事にはならなくなってきたが、それでも変わらないハードさに、しかし強くなった事を実感し嬉しさを噛みしめながら歩みを続けるレイ。レイは今、首都セストの東の外れに向かって歩いていた。その場所にはセストリア王国が保有し、ギルドが管理するダンジョンが存在する。ダンジョンとは、はるか昔から存在すると言われる迷宮で、中には古代の遺物と呼ばれるお宝や、それを守護する様に罠や魔物が徘徊する、形や大きさも様々な建造物である。何でも、世界には100階層を超える物すら存在するのだとか。セストに存在するダンジョンは、地下に広がる形をしており、現在は28階層まで踏破されている。本来ダンジョンは命の危険が伴う為、許可された者しか入る事が出来ない。しかし冒険者は中の魔物を掃討するという名目で中に入る事が

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