桜子は弁当を開けると、驚きのあまり目を見開いた。
中身は海門の特産品を使った精巧な朝食で、どれも色鮮やかで香りも良く見た目も美しかった。
しかも驚いたことに、どれも桜子が自宅でよく食べているもので、彼女の好物ばかりだった!
ついお腹が鳴ってしまう。
「聞いた話によれば、隼人が朝の五時に車を出し、海門まで買いに行きました。この弁当箱には保温機能がついていて、今でも温かいままです」翔太は一品ずつ取り出しながら、淡々と話した。
どうやら隼人が桜子にアプローチを始めたことは確かで、翔太はそのことに気づいていた。
桜子に対する思いを抱えていた翔太だが、彼女の恋愛に干渉しないと決めてはいた。しかし、相手がその隼人だと知ると、なんとも言えない不安を感じてしまう。
「隼人、頭でもおかしくなったの?こんなことをしてほしいわけじゃないのに!」
言葉では強がっている桜子だったが、不意にも手をエビ餃子に伸ばし、ぱくぱく食べ始めた。
翔太はその様子を見つつ、苦笑いを浮かべた。
「桜子、どう?美味しい?」
その時、耳元から低い声が聞こえてきて、桜子は驚いてエビ餃子を喉に詰まらせ、むせてしまった。
「ゴホゴホゴホ......」桜子は胸を押さえて激しく咳き込み、顔が真っ赤になった。
「桜子様!大丈夫ですか!」翔太は驚き、慌てて桜子の背中を軽く叩いた。
隼人はその光景を見て、胸の中で激しい怒りが湧き上がり、心が乱れるのを感じた。
桜子と翔太が特別な関係にないと分かっていても、隼人はその現場を見ていられなかった。すごく嫉妬してる感じだ。
隼人は思わず眉をひそめ、桜子に近づこうとしたが、桜子はそれより早く、いきなり彼の前に立ちふさがった。
「昨晩一体何があったの?どうして私がベッドに?」桜子は怒りを込めて問いかけた。
「俺が運んだんだ。ソファで寝るのは心地悪そうだったから」
隼人は桜子に近づき、穏やかな言葉をかけた。その熱い息が桜子の額にかかり、その距離感に微妙なドキドキが走った。
「余計なことをしないで!」桜子は隼人の甘い目線に反発し、拳を握りしめた。
「お前のためにしていることは余計なことなんかじゃない」隼人は真摯な表情で答えた。その目には、軽薄さなど微塵も感じられない。
特に、その魅惑的な瞳で見つめられると、桜子はその誘惑に抗えない気がしてきた。
「ふ