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ホーム / 恋愛 / 離婚カウントダウン、クズ夫の世話なんて誰がするか! / 第86話

第86話

作者: ちょうもも
「お前と寒河江の間にある噂も耳に入ってる。それに最近のお前の状況もなかなか厳しい。誰にとっても得になるような、もう少し良い方法を考えたことはないのか?」

小林爺がこれほど穏やかに話しかけてきたとき、悠良にはこの老獪な男がまたなにか企んでいるとすぐに察しがついた。

だから悠良は無駄に回りくどい駆け引きはせず、はっきりと切り出す。

「おじいさま、おっしゃりたいことがあるなら直接言ってください。今から一緒に昼食を取るつもりもないでしょう?」

小林爺はふっと息をつき、口元に薄い笑みを浮かべた。

その笑みはなぜか悠良の背筋を冷たくさせるものだった。

「まったく、残念なことだな」

その言葉の意味は悠良にはすぐにはわからなかったが、とりあえず軽く笑顔を返した。

けれど、その笑顔は次の言葉ですぐに凍りついてしまった。

「寒河江にお前の妹を紹介する仲介役になってほしい」

その一言に悠良の笑顔はぴたりと固まった。

莉子もその言葉には驚きを隠せなかった。

昔、小林爺は自分を史弥に紹介しようと考えたこともあったが、母と父が必死に止めたのだった。

「史弥には合わない」、「まだその資格がない」と。

あのときは、父母が自分を後回しにして悠良ばかりを優先することに腹を立てていた。

でも今、そのときの恨みがどこか少しだけ解けるような気がした。

一方で悠良は困惑し、すぐにきっぱりと断った。

「申し訳ありません。それはお約束できません」

それを聞いた莉子は途端に顔色を変えた。

「あんたはもう白川家に嫁いでるんだから、私と男を取り合うわけじゃないでしょう?ちょっと手を貸すこともできないの?」

悠良は冷たい視線で切り返す。

「親しくありませんから」

小林爺にとって、それは生まれて初めての拒絶だった。

今まで家中の人間が従わないことなど一度もなかったからこそ、まさか血縁もない孫娘から断られるとは思ってもみなかったのだろう。

その目に陰りが差し、冷たい声が響いた。

「もしお前が母親の墓を小林家に戻してほしくないなら、好きにすればいい」

悠良はその言葉に唇をきつく結び、体中がこわばった。

そしてその表情には怒りと痛みがにじみ出る。

「おじいさま、母はあなたにとっても嫁だったはずです。この何年も、どうして外に置き去りにできるんですか?」

小林爺は顔色一つ変え
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