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佐伯れもん
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佐伯れもんの小説

君に触れたい〜逃した未来は大きかった〜

君に触れたい〜逃した未来は大きかった〜

CEO・社長・御曹司年の差ラブコメ強いヒロイン現代
御子柴弥一は結婚当初は妻であるかすみを疎んじていた。祖母の八重子がある日妻にと連れてきた女が彼女だった。弥一は当時大学を卒業したばかりの22歳で、彼女の歳はなんと32歳。そもそも弥一には想い人がいた。なのに、好き好んでもいない、しかも十歳も離れたおばさんとの結婚など受け入れられるわけがない。しかし八重子に逆らえるわけもなく、少しの辛抱と心に決め、従うふりをすることに。だが、始まりこそ最悪だったものの、案外その生活は悪くなく、何より彼女の作るご飯は格別だった。弥一が少しずつ歩み寄ろうとした矢先、彼女が突然姿を消す。そこで祖母から告げられる衝撃の事実。そもそもで俺たち、結婚してなかった、だと⁉︎
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Chapter: 85話
「店を出て左ー」 と、弥一はまたも呟きながら、たまに「ごめん、通して。」と、かつての同級生たちの間をすり抜けると、外へと出る。 皆、久々に生で目にする弥一に目を奪われると共に、せっかく会えたのだから話をしたかったのだが、弥一のどこか必死な様子を前に、空気を読み道を譲った。 通りに出た弥一は、そこで一息吐くと、「よしっ。」と気合いをいれ、再び走り出した。 必ず彼女に会う、そう心に誓って。 その姿を、自身も弥一の後に続いて店の外に出ていた加島が眺めていた。 ぐんぐん遠くなるその背中に、加島がふっ、と鼻で笑う。 その横に小笠原も立つと、「何笑ってんの?」 「いや。」と、半笑いの加島。 そんな加島の様子に首を捻りながらも、 「かすみさんて、イケメンにモテモテだな。」 その一言に加島は笑いを引っ込めると、 「お前だったらどっちに軍杯が上がると思う?」そう、片方の眉を上げて聞く。 「えっ⁉︎」と、小笠原は困ったように頭をかきながら、 「まあ、友達に勝ってほしいとは思うけど。相手が相手だもんなあ。」と、言葉を濁す。 「あんなガキんちょに俺が負けるとでも?」 「いやいや!そうは思ってないよ!けど、若いからこそ、俺らにはない強みがあるんじゃない?正しく今みたいにさ。好きな人に会いたくて走り出すとか、青春じゃん。あ、角を曲がった。」 それを聞いた加島が振り向くと、確かに。弥一は角を曲がったらしく、その姿はもう通りからは見えなかった。 加島はしばらくその通りを眺めていたが、またしても鼻で笑うと、 「まあ、確かに。」と言いながら、加島は店の方へ歩き出すと、 「けど、結局会えないんじゃ、青春もなにもないだろ。」と、ぼそりとつぶやく。 「え、何?」と、その後ろを追いかける小笠原に、「何でもないよ。」と、加島は笑う。 先程、 かすみは裏口から左手に出て行った。ということは、正面から見たら右手に出たことになる。 だが、加島が弥一に教えたのはその反対だった。つまり、会えるわけがない。 加島はズボンのポケットから携帯電話を取り出すと、愛蘭へのメッセージに、"あっかんべえ"をするクマのスタンプを送った。 こっちは二年間もステイ状態喰らってたんだ。 そう思う加島には、正々堂々なんて言葉、クソ喰らえ!だ
最終更新日: 2026-06-22
Chapter: 84話
弥一はそう言うと、雪菜から自身の腕を振りほどく。 気のせいではなく、弥一があからさまに自分を嫌悪しているような態度に、雪菜は傷ついたような表情を浮かべると、 「ねえ、本当にどうしちゃったの弥一?あなたに会いたくてこうして帰って来たのに。怒っているのなら理由を言って?そんな風に冷たくされたら、私すごく悲しいわ。」 過去にとはいえ、"本当にこんな女好きだったのか?"といった目を向けてくる加島に、弥一はいたたまれない気持ちになり、視線を横へとズラす。 と、加島が思っていると、背後から三人に近づいてきた冬馬が、 「取り入ろうとしたところで無駄だぞ、雪菜。弥一は全部知ってるんだ。バレたんだよ、何もかも。」 その一言に、弥一の眼光はさらに鋭さを増し、その目に射抜かれた雪菜は、途端に青ざめる。 「な、何を言ってるのよ、冬馬。バレたって、一体何のことを言ってるの?」 何とかごまかそうとする雪菜に、冬馬は彼女を卑下するように笑うと、 「雪菜、今更何を言ったところで無駄だ。俺もお前も、過去はどうやったって覆らない。それに、今のお前はキャラすら忘れてるぞ?俺のこと、弥一の前では"くん"付けで呼んでいたことも忘れたのか?」 雪菜は瞬間"しまった"というような顔をしたが、それでも何か話そうとする彼女を、弥一は手で強く遮ると、 「加島さん。彼女はどこに行かれたんですか?」 加島は片方の眉毛を上げると、「さあ?」 弥一は食い下がって、 「お願いします、加島さん!」 「ねえ、弥一聞いて?弥一が何を知ったのかは知らないけどー」 と言う雪菜を、弥一がまたも手だけで遮ると、その隙に加島が、 「本当に知らないんですよ。ただ、彼女は裏口からー」 と、加島は少し考えてから、 「右手に出て行きましたよ。走ればまだ間に合うんじゃないんですか?」 それを聞いた弥一は、 「裏口から右手・・・ということは、正面から出たら左手ということですね!ありがとうございます!」 そう言って加島に丁寧に頭を下げると、 「正面から出て左ー」と、呟きながら、弥一は店の外へ出ようと向きを変える。 今にもこの場を去らんとする弥一に、冬馬は、 「悪かった、弥一。お前の気を引きたくてやった。」 「俺の気を引きたくて?」と、弥一は不快そ
最終更新日: 2026-06-21
Chapter: 83話
小笠原は緊張から少しばかり声が上擦ってしまったが、 「あ、はい!そうなんですけど。そうだったと言ったほうがいいのかな。白石かすみさんでしたら、用事があるとかでつい先程お帰りになられましたよ。」 それを聞いた弥一が、"またすれ違いかよ"、と思い、うなだれたその時だった。 「御子柴さん?」と、呼びかけられたことに反応し、弥一が顔を上げたその先で、加島の姿を見つける。 弥一が加島の名前を呼ぼうと口を開いたその瞬間、 「弥一っ!」と、女の声で自身の名前を呼ばれた。 弥一は身体をビクッとさせた後、こぶしを握ると、彼女のほうには振り返らず、代わりに、 「またお会いできて光栄です、加島さん。」 そう言いながら店の中に入って行く。 自分の呼びかけを無視された雪菜は、信じられない気持ちでその場に立ち尽くしていたが、同窓生たちからの視線に気づき、ハッと我に返ると、彼、彼女らを蔑むように見返しながら、モデルのような歩き方で彼女も店の中へと入って行った。 その様子を少し後ろで見ていた冬馬は、ただ無表情に後に続く。 店の中にて。 加島は自身へと近づいて来る弥一を見ながら、先程愛蘭から来たメッセージの意味を理解した。 弥一も加島に近づきながら、さっき愛蘭から教えられたばかりの強力なライバルの存在を目の前に、その顔は少しばかり強張っていた。 加島は満面の作り笑いを浮かべると、 「こちらこそ、日本の宝である御子柴グループの御曹司様にこうも短いスパンでお会いすることができて、光栄の至りです。御子柴様も、今日のパーティーのお客様だったのですね!」 今なら、加島のこの表情が好意からではなことがわかる。なので弥一は、加島に向かって頭を下げると、 「いろいろと嫌な思いをさせてしまい申し訳ありませんでした。」 弥一のその言葉に、加島は驚くと共に、愛蘭が何か吹き込んだんだなと察知すると、瞬時に作り笑いを引っ込めるのだった。 「僕に謝られても困ります。」と言う加島に、「もちろん、彼女には今から謝りに行きますが、その前に。彼女を想う同士として、加島さんにはちゃんと謝っておきたかったんです。」"今、同士って言ったかこいつ"と思った加島は、愛蘭がかなりのことを弥一に話したのだなと考え、小さく舌打ちをした。 「彼女?」と、そんな二人の会話
最終更新日: 2026-06-20
Chapter: 82話
そんな加島の作戦にまんまとハマったかすみは、 「全然ダメじゃないよ!うん、愛蘭にはちょっと悪いけど、そうだね。その日は二人だけで出かけよっか!」 加島は心の中で盛大にガッツポーズを決めると、 「うん、二人きりで行こう!じゃあ、明後日までには詳細決めておくから、その時また連絡するね?」 「はい、承知しました!」と言うかすみに、加島は笑うと、 「あ、ごめんね、引き留めちゃって。時間大丈夫?」 「時間、って?」 「え?用事あるんだよね?」 用事がある体だったことをすっかり忘れてしまっていたかすみは、慌てて、 「ああ、そう用事!用事あるんだった、急用で重要なやつ!じゃあ、私はもう行くね!またね、まこちゃん!」 そう言って、かすみは裏口のドアへ手を掛ける。 その背後で加島は、「うん、気をつけて!あと、水曜日楽しみにしてる!」 かすみはニコッと微笑むと、ドアを開けて外へと出た。 ちらりと背後に目をやると、加島がまだ自分を見送っているのが見える。 かすみは振り返って「じゃあね、まこちゃん!また来週の水曜日に。」と言いながら手を振ると、加島も手を振ってきた。 かすみは再度ニコッと笑いかけて、顔を前に向ける。が、バレないようにちらりと後ろを見ると、 "まだ見てる" こうなったらとにかく、歩き出すより他がない。かすみはとりあえず、店から出て左に向かうと、当てがないのに当てがあるよう見えるべく、スタスタと歩き出すのであった。 そんなかすみの背中を見送りながら、加島は人生初となるかすみとのデートをこじつけられたことに、思わずニヤけてしまう。 するとそこで、ズボンのポケットにしまい込んでいた携帯電話のメッセージ音が鳴った。 加島がそれを取り出し確認すると、愛蘭からであった。 彼がチャット欄を開くと、そこには、 "あんたもいい大人なんだから。意地悪しないで、正々堂々と勝負するように!"とのメッセージが。 何のことやらさっぱりわからない加島は、とりあえず無視しようと思い、携帯電話をポケットにしまうと持ち場へと戻った。 見送りから戻ってきた加島に、小笠原が、 「真琴、そろそろ店開けるぞ!準備はいいか?」 「ああ、わかった。」 そう加島が答え、小笠原が店を開ける。 「お待たせいたしました
最終更新日: 2026-06-19
Chapter: 81話
18時40分 ル・ボヌールでは、料理に加え、店内の飾り付けも完璧に仕上げ、パティーの準備は万全と言った具合であった。 店の外にちらほらと人が集まり出しているのを見た小笠原は、 「そろそろお客様を中に入れようか!」と、皆に提案する。 皆が一様に合意する中、かすみはおずおずと、 「あのー、すみません。」と切り出すと、加島をはじめ、皆が一斉にかすみを見た。 かすみは大きく息を吸った後、 「すみません、最後までお手伝いできなくて申し訳ないのですが、急用ができてしまいまして!大変申し訳ないのですが、ここで失礼させていただきます!」 と、宣言した。 あからさまに様子がおかしいと思われたのだろう。 「どうしたの、急に?」と、半笑いの加島に、かすみは嘘を吐いたことでの罰の悪さを感じながらも、それでも、”御子柴さんの前に姿を見せるわけにはいかない“そう思い、 「どうしようもない急用なんです、本当に、どうしようもなくて、あの・・・すみません。」と言うと、 小笠原が、「いやいや、謝らないでくださいよ!かすみさんにはもう十二分に手伝っていただきましたから!料理はビュッフェスタイルですし、せいぜい飲み物をサーブするくらいなので、四人いれば事足ります。なので、かすみさんは用事を優先させてください!」 それから、小笠原は加島の肩に手を乗せると、 「かすみさんの抜けた穴は、加島が倍動くことで埋められますから、どうぞお気遣いなく!」 そう言って、かすみに親指を立ててみせた。 加島は心底うざったそうに小笠原に一瞥をくれてから、優しい表情に切り替えてかすみを見ると、 「こちらこそ、急なお願いだったのに聞き入れてくれてありがとう。送っていきたいけど無理だから、代わりに目の前の通りでタクシーを捕まえてこようか?」 嘘とは知らず、いつもと変わらない思い遣り溢れる加島の対応に、かすみは内心で深く土下座しながら、 「あ、ううん!大丈夫だよ、まこちゃん!急ぎだけど歩いて行けるから!早歩きすれば十分間に合うから!」 そう、胸の前で両手を振りながら答えた。 そして、これ以上続けてはボロが出そうなのと良心の呵責に耐えられそうにないと判断したかすみは、 「では、申し訳ありませんが私はこれで!今日は一日楽しかったです、ありがとうございま
最終更新日: 2026-06-18
Chapter: 80話
冬馬が携帯電話の画面に目をやると、そこには“弥一”の文字が。 冬馬は素早く“応答”のボタンを押すと、 「どうした?」と問いかける。 「今日のパーティー、なんて店でやるんだ?」 弥一のその一言に一気に冬馬の気持ちが上がる。 “なんだ、やっぱり拗ねてただけか” そう思った冬馬は、少し気取ったように、 「なんだよ。今日は優先すべきことがあって来られないんじゃなかったのか?」 電話口で弥一が苛立ったように、「時間がないんだ。早く言え。」と言ったので、冬馬は笑って、 「悪かたって。そう怒るなよ。金白にあるル・ボヌール(幸福)って店だ。今から来るのか?」 だが、弥一はお店の名前を聞くや否や、冬馬の質問に答えることなく通話を切ってしまう。 冬馬は、急に弥一の声がしなくなったと思い、画面を見てはじめて通話が切られていることに気づいた。 冬馬は苦笑すると、 「弥一、今から来るってよ。俺は先に店に行くけど、いつも通りお前は少し遅れてこいよ。」 そう雪菜に声をかけ、彼女の返事も待たずに冬馬は後部座席のドアを開けると車から降りて行ってしまうのだった。 いつものように自分を待つ素振りすら見せない冬馬に、雪菜はどこか引っ掛かりを覚えながらも、 「待ちなさいよ!」 そう言って、慌てて冬馬の後を追いかける。たが、彼女は今日、10センチもあるピンヒールの靴を履いていたので、思うように走ることができない。 なので、雪菜は再度、「待ってってばっ!」と、冬馬の背中に叫ぶ。 冬馬はやっとその足を止めると、わかりやすくため息を吐いてから振り返った。 いつものへらへらとした態度とは打って変わって、今の彼は誰が見ても苛立っていることがわかる。 雪菜はそんな冬馬の様子に、少し怯みながらも、 「弥一、今から来るって?」 「ああ、そう言っただろう。他に何か聞きたいことは?」 「え?あー」と言葉を詰まらせる雪菜に、冬馬は一瞥をくれると、踵を返してしまう。 雪菜は慌てて、 「あ、あんたがちゃんと私をエスコートしなさいよ!今日の主役は私なんだから!」 そう言った雪菜を、冬馬は鼻で笑って、 「わかった、わかった。ほら、掴まれよ。」と、雪菜が手を回しやすいよう、自身の腕を差し出す。 雪菜は、生意気ながらも、やっ
最終更新日: 2026-06-17
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