Chapter: 最終話私たちは騙されない最終話私たちは騙されない魔龍王ヴォルフガングを討伐した私たちは王都に帰還した。王都にて私たちは宿を取った。部屋は当然ジャンケンで決めることになった。その結果私とスミカが同室になった。「ねえ、エル……私のこと愛してるって言ってくれたでしょ、夢みたいなんだけど本当? もし私がチューとかしたいって言ったらしてくれる? やっ、やっぱりなんでもない」チュッ「私、本当にスミカを愛してるんだよ、疑わないでほしいな。証明するためなら…………だってするよ」「きょ、今日は恥ずかしいからまた後日お願いします」「なんで敬語なの?」「「あはははは」」「ルミエルたち楽しそうですね」「ミリア今は俺だけを見ろ」「そそそそ、それはまた今度で」「ミリアがそういうなら」翌日私たちは王より勲章を授与された。式典が終わりみんなと別れを告げたことで戦いが終わったことを思い知らされる。「ねえ、戦いが終わったということはみんな別々の道を歩くわけだよね、元に戻るだけっていうのは分かるんだけど、やっぱり寂しい」「大丈夫だよエル、私たちはずっと一緒だよ。それに別々って言ってもまた会えるよ!!」「そうだぞ。それに元に戻るだけってそんなわけないだろ、そもそもルミエルは何を使ってヴォルフガングに勝ったんだよ」「みんなの想いとか、絆とか……!!」「だろ、ルミエルと俺たちには絆があるんだからよ、それを無かったことには誰にも出来ねえよ」「ロッテの言う通りですよ……」ミリアが話している最中にエリエルが叫びながら走ってきた、ルーマンを連れて。「四人とも実験体になって~!!」「エリー、お前何言ってんだよ!!」エリエルが言ったのは同性同士でも子供が作れるようにするための実験に付き合ってくれというものだった。私たちが了承するとエリエルは他の人にも頼むと叫んだ。「四人のあとはシノンとサジにも頼むから、それじゃあね~!!」それから私とスミカは夏休みが終わり、学園に通いながら私、スミカ、それにミリアとシャルロッテの四人で様々な依頼を受けながらエリエルの実験に付き合った。三年後学園を卒業し、私とスミカは両家に挨拶を済ませ結婚した。そしてその一年後エリエルの実験の結果私とスミカに一人の子供が出来た。子供には私とスミカから名前をとりエルーカと名付けた。子供が出来たと知らせた時のお父様た
最終更新日: 2026-07-27
Chapter: 第九十九話最終決戦その三第九十九話最終決戦その三魔物を倒せたけど、私の今の疲労した状態で、ヴォルフガングを倒せるのかな……ううん、倒せるかじゃない、倒すんだ!みんなの頑張りを無駄にしないためにも、何より……昔みたいにお祖母様と些細なことでもいいから話したい。「あのさ、ミリア……封印の壺のことでテシウスから何か聞いてないの?」「何かとは? ……もしかして、聞いてきましょうか?」「いやいいの、私が自分で聞くから」私は最悪の場合封印の壺にヴォルフガングだけ封印出来ないかと考えた。「へぇ、俺だけ封印しようとは面白いことを考える」「今すぐ避けろルミエル!!」「そう焦るなよお前ら」ヴォルフガングはアリス、ルイ、グレイの攻撃を受け止めた。転移の腕輪での転移は成功したみたいだけど、以前会った時と雰囲気がまるで違う。「ルミエル、お前に一つ教えてやる。お前のおばあちゃんの最期の願いで自らここに来てやったんだ」「エル、耳を貸しちゃダメ!!」「私は大丈夫だよスミカ、ありがとう」私は確実に奥義を当てられるように準備しておかないと。アリスたちの話の通りならヴォルフガングを孤立させるほど強くなってしまう。そして弱点が絆や愛であり、そのための絆と愛を使った奥義だ。「やはり一人が一番力が発揮出来て楽だ。これほどの力が出せるのだから」「さて始めるか……シノン、お前の新しい技を使え!!」「このために覚えましたからね、お任せください」シノンが覚えたのは洗脳だ。だが、自らより強い者には通じない。その洗脳でゾーマが操る魔物や死人に一時的にヴォルフガングに絆を感じさせ単純だが確実な方法で弱体化させる。「その程度の攻撃で俺が倒せるわけがないだろう。お前らの力はそんなものか」「私とルミエルで皆さんに支援魔法を使います!!」スミカたちの武器には再生封じの毒を塗ってある。少しずつでもダメージを与え続ける。この戦いには負けるわけにはいかない、みんなで楽しく話す明日を絶対に迎えるために。弱体化が充分に効いたのは、支援魔法を使い始めた約十分後だった。「なぜだ、あれだけ殺したというのに力が充分に出ないだと。お前たち何かやったな」「はぁ、はぁ、弱体化が効いても相変わらずなんという強さですか」「前より強いな、それでこそ魔王だ」「…………前回封印せずに殺しておけばこうはならなかった」「そ
最終更新日: 2026-07-27
Chapter: 第九十八話最終決戦その二第九十八話最終決戦その二「おいノアとやら、あの魔力の中心にヴォルフガングがいるって本気で思ってるのか」「そう思ってるから向かってるんじゃん」「ノラとやら姉妹なら止めてくれ」「止めなくてもいい」「本当にお前らなんなんだ!! あぁもうめんどくさいこと押し付けやがって!!」私とノアはヴォルフガングがいることが分かり一番魔力の濃い場所を目指している。「お姉ちゃんたち、何チンタラやってんだよ。全ての元凶がいんだよ……アイツさえいなけりゃ兄さんが殺されることはなかったんだよ」「落ち着けツバキ、ヴォルフガングを殺したいのは分かるがそう焦るな」「ツバキちゃん、ヴォルフガングを見つけているから私たちは走ってるんだよ」見つけた理由は私たち分裂体が、三体も殺されたからなんだけどね。「だったらとっとと言えや」「何度も言っているだろ、イライラしたからって口を悪くするなって」「そういや兄さんを操ったアイツらは今どうなったんだよ」「また無視か……それ結構堪えるんだぞ」私たちは襲ってくる魔物たちを即座に地に落とし、話しながら走っている。「もうガンちゃんが毒の排除をすぐに選ばず支部を潰してるから見つかっちゃったよ(今すぐ切り捨てよう、可燃物)我慢ならんから言うけどガンちゃん本当に邪魔だから、私から離れてくれ、一緒にいてももうメリットが何一つない」私たちが見たのは、ヴォルフガングと女が分離し二つになろうとする瞬間だった。「面白いじゃん、ガンちゃん」だが、それは失敗した。「お前みたいなやつがどれだけいたと思っている、対策をしないわけがないだろ。お前は俺に喰われて永遠に眠っておけ。さて邪魔者もいなくなったことだ、存分に楽しもうではないか……誰から俺を楽しませてくれるんだ? そうそう、確か転移の腕輪だったな、これは……これを使って転移でもさせるつもりだった訳だろミドラよ、聞いておるのだろう。まあ良いこの辺りは魔物共にでも任せて本命に向かうとするか」「そう簡単に逃すわけねぇだろ!!」「待てツバキ突っ込むな!!」「邪魔をするな小娘……なっ、身体が……」「ルミエルを……私が、愛するんだ……から、"転移"」「喰われてもなお意識があるのはお前が初めてだ。……最期のお前の願い叶えてやろう」シュン「おい、アイツはどこに消えた、とっとと教えろ!!」「あの腕輪を使って
最終更新日: 2026-07-27
Chapter: 第九十七話最終決戦その一第九十七話最終決戦その一「久しぶりだなシノン、貴様がここに居るということはボスに楯突いたってことでいいんだな?」「そういうことで構いません。というか私はボスより組織をクビになっていることはご存知でしょう?」「当然知っているに決まっているだろ」「まあ貴方のことですから私たちがなんと言おうと殺しにくるのでしょう?」「当然だろ。たとえ貴様がクビだろうが自らの意思で辞めたんだろうがボスを裏切ったことに変わりないのだからな!」「本当貴方は極端ですね。一つお聞きしますが、貴方の他にはどなたが生き残っているのですか?」「今から死ぬ貴様に話したところで何もないだろうが、冥土の土産だ、よく聞け! まずは……」グチャバタン「もう、敵に話したら駄目でしょ。ハロー、シノンちゃん幹部会議以来だね。ウチのバカはおしゃべりでごめんね。それと聞けなくて残念だったね」「殺す必要はなかったはずです。なぜ……とは言いません。敵に情報を伝える行為は裏切りも同然、粛清されてもおかしくありませんから」「嘘ついたね。本当はなんで僕が殺したのか問いたいんでしょ、分かっちゃうんだな〜僕にはさ」「でしたら、この情報が嘘かどうかも分かりますか?」「そんなの分かるに決まってるじゃん、僕を誰だと思ってんの? 僕はインジェンス・アムジィス様だぞ、僕の前では全ての嘘は無意味になるんだ。ホラホラ話してみろよシノンちゃん」「それでは話しますね。コホン、ボスは自らの部下を殺すつもりという情報を手に入れましてね。さあ、自慢の能力で見抜いてください」「ふんっ、こんなの能力使わなくても嘘って分かるね。僕の尊敬するボスが裏切ってもない僕達を殺す理由がないだろ。まあ能力で見抜けっていうなら仕方ないね。……違う、こんなの嘘だ嘘に決まってる……ボスが僕達を、そうか今日は調子が悪いのかきっとそうに違いない」「インジェンス副隊長、おそらくシノン隊長の仰っていることは事実かと思われます」「黙れ!! 僕はボスに聞くまで信じないからな」「申し訳ありませんシノン隊長ウチの副隊長が失礼な態度を……」「貴様は黙れ。おい、シノンちゃん、畜生どもの大群が来ているぞ。とっとと指示を出せ」「あの、インジェンスさんは味方なのですか、敵なのですか?」「敵に決まっているだろ!!」「副隊長曰く『魔物が大量にきたから今は休戦に決まっ
最終更新日: 2026-07-27
Chapter: 第九十六話最終決戦前会議第九十六話最終決戦前会議私たちはミドラ族長と共に魔龍王ヴォルフガングを討伐するための作戦会議を行うことになった。「これより作戦会議を行う。まずヴォルフガングは現在王都に向かっている。毒のことに感づいて行動している前提で話を進める。エリエルたち研究班をジンたちと騎士団に護衛させてある、そこにシノンたちが集めた裏社会の人間を王都に着き次第アガルタの異空間都市(ルパラディシュタット)から出す。その中から上位二十人を研究班の護衛として向かわせる。シノンは全体の指揮を頼む。サジとヒョウは研究班の護衛だ」「俺達だって兄貴と一緒がいい!!」「そこも考慮している。アカネとヨシカゲは王都の住人の護衛を任せる」「「任せてください!!」」「ノア、ノラは分裂をして王都を含めた各都市の護衛兼索敵を任せる、龍谷峠のやつらにも行かせてある、協力してくれ。そしてヴォルフガングを見つけ次第転移の腕輪で赤霊荒野(せきれいこうや)に飛んでくれ。シャルロッテ、ミリア、ファジリス、テシウスはそこを強襲する。ルミエルとスミカが奥義の準備中は俺とアカネ、グレイ、ルイで二人を護る」「あの〜私たちは?」「リリー、ノコノコ、クリボーはこの壺を護ってほしい。この壺はルミエルたちが失敗したときのための保険の封印の壺だ」「せっ、責任重大ですね」「安心しろよリリー、オレたちなら絶対出来る!」「そうですよリリーさん。私たちなら出来ますよ」「ですね、私たち三人揃えばどんなことでも出来る……そんな気にさえなれます!」「全員に転移の腕輪を渡しておく。それじゃあ作戦開始だ!!」私たちは渡された転移の腕輪というもので各々の作戦場所に転移した。「相変わらず変わってねぇなここも」「そんなことありませんよ、ほら以前にはなかった木があるでしょ」「…………グレイはバカだから気づかなかったんだよきっと」「バカとは何だよバカとは!!」緊張感がないのは駄目なんだろうけど、気持ち的に軽くなるって思っちゃう私がいる。「エル……本当に大丈夫かな? 不安になってくるんだけど」「私も不安だけどアリスたちが前にヴォルフガングを倒してるんだから大丈夫だよ……多分」「おいそこ聞こえてんぞ!! つーか、いつもどおりが一番なんだよ。変に気負うな、気負ったところで結果は変わりゃしないんだからよ。だからいつもどおりふざけてんだよ」
最終更新日: 2026-07-27
Chapter: 第九十五話魔王討伐の奥義第九十五話魔王討伐の奥義ファジリスの素体を取りにエデンの園本部へファジリスと私は向かった。「気をつけて進めよ、ルミエル。いつボスと遭遇するか分からねぇんだから」「ドジ踏まないよう気をつけるよ」なんだか、腕輪から小さな光の粒が見えるけど、気のせいかな?「止まれルミエル、誰か来る」腕輪から出た光の粒は動き始めた。「なんですかこの光の粒は」この声はミリアだ!!その後姿が見えたのはミリアとテシウスだった。「テシウス無事で良かった…………まあ信じていたがな」「心配させてすまないなファジー。(ルミエルに何があった。魔力量が尋常じゃなく増えている……これなら、あの技も使える)」「テシウス……母さんが腕輪を託して死んだ」「そう……か、ならルミエルには教えなければならないな」「今のルミエルなら使えるはずだ。私が保証する」「ルミエル、この後ヴォルフガングを倒す技を教える。それまでに相方を決めておけ」「相方ってどういうこと?」「この技が仲間の絆と一人の愛があって初めて使える技だからだ」「テシウスはなんでヴォルフガングを倒す技を知ってるのに使わなかったの」「使えなかったんだ、俺にもファジーにも」もしかして龍国峠でのミドラ族長の試練が恋愛関係だったのって……。私がそう考えていると族長の声が聞こえてきた。「それも当然あるが、ただ単に恋愛話が好きだった割合の方が大きい。それと皆、コロンドの森に集まってくれ。作戦を立てる」「ルミエル、道中でやり方を教える。合流するまでに相手を決めておけ」「……もう決まってるから安心して」そしてルーマンとエリエル以外の私たちは合流した。「「無事で良かったです兄貴〜!!」」「お前たちもなアカネ、ヨシカゲ……本当に無事で良かった」「ファジリスさん、テシウスさん貴方達がボスを裏切るとは意外でしたね」「私は副隊長としてファジリス様に従っているだけですので」「今更猫被る必要ないだろ」「それはそうですね。……言っておくけど、私がファジーに従ってるのは本当だからな。それにボスを倒すなら奥義的なやつが必要だろ。私とファジーはそれを教えられるからな」「シノンさん、信用していいんすか?」「ファジリスさんがここに居ることが信用する理由には充分ですよサジ」「そうっすか。なら俺はシノンを信じるっす」「ケーキ美味しいですね
最終更新日: 2026-07-27
Chapter: 第五十八話第五十八話朱莉と順序を話している最中に……アイツの邪魔が入った。なぜ毎回アイツは僕たちの邪魔をするんだ。「良い具合に成長したな風香、私の見込んだ被験体なだけはある」アイツは普段私なんて使わないし僕たちのことは雛と呼ぶはず、おかしい。本当に中身はアイツ……なのか?『朱莉、さっきはごめん。ちょっと提案なんだけど、中身がアイツなのか確かめたいから手伝ってくれない? もし……もしも予想が当たってしまったらすぐに逃げるよ』『ならすぐにお姉ちゃんに魔法で伝えるよ!』朱莉にはそう言ったけど、予想が当たった時点で逃げる素振りをする前に殺されるのは目に見えている。契約霊と中身を入れ替えるなんて馬鹿げた芸当をするのは、指揮をしている者だけだ。それに人間を魔物に変えられる人を僕は一人知っている。僕の前の子供を魔物に変えていたあの記憶が事実なら父さんだ。それに父さんの本名が荒川咎なら香取雛に魔法を教えた人物ということになる。香取雛、源綾音、冴木満の三人が咎様と呼んでいる。そして三人とも咎様に報告をするために僕と朱莉を殺さずに生かしている。ならば荒川咎は上位の存在であることは予想出来る。アイツは突然今までに見たことのないほど歪んだ笑みを見せ……僕は恐怖で身体が凍ったかと錯覚するぐらい動かなかった。「風香、良い線行っている。ここまで至った被験体は久しぶりだ」……まさか、心を読まれているのか。いや、母さんの時も読まれていたじゃないか…………当たるな、当たるな……当たらないでくれ!朱莉は僕の手を握り安心させようとしてくれた、朱莉だって震えているのに。あの時作った探知魔法を改良して転移に使えるようにしないと、待っていては僕のせいで朱莉が殺される。「それだけは絶対に嫌だ!!! 朱莉逃げ…………」その時世界が地獄であることを理解した。僕が握っていた手の先がなくなっていた。「…………これは夢だ。夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ夢だ……こんなのが現実なわけが無い!! 香取雛、いるんだろう!! 記憶を消すならなんなりしてみせろ!!」どれだけ叫んでも周囲を見渡しても朱莉を蘇らせようとしても…………何も、何も出来なかった。膝から崩れ落ちた僕をアイツは…………いいや咎は嘲り笑った。「その表情が見たかったんだ!! だから、あと二回は特別枠として朱莉を蘇らせてあげるよ。
最終更新日: 2026-09-12
Chapter: 第五十七話第五十七話謝罪を受け入れてもらえず、朱莉がデートを誘ってきたが、お姉さんからそのデートは明日にしてと連絡があり翌日に繰り越されることになった。僕と朱莉の目的はお姉さんだというのに、デートという言葉に躍ってしまい後回しにしてしまった。こんなので、よく母さんのためとかほざけるよな……こんなの側から見れば全部自分のためじゃないか。帰宅後、一人になった僕は罪の意識で押し潰されそうになった。「このまま僕が僕じゃなくなったらどうしよう、それに次におかしくなって誰かを殺したら……その誰かに朱莉も含まれていたら」そのことを考え始めたら、止まらなくなり……結局朝になってしまった。それから朱莉から連絡があった。『似合う服で行きたいから十八時に学校で集合だからね、風香ちゃん』そのメッセージを見た僕は、朱莉に会いたい気持ちを押し殺した。「正直デートがなくても毎日会いたい」刺された翌日に僕は何を言っているんだ。そして僕は出来るだけ考えたくなかったので、眠ることにした。逃げたのだ、思考することから……怖いというそんな理由で僕は!!朱莉がデートと称して向かったのが、アイツと契約した森だった。森で朱莉に会ってから僕の内心はぐちゃぐちゃになっている。やはり考えすぎて寝不足だからだろうか。朱莉はそんな僕を見越してか森に来た理由を説明してくれた。「風香ちゃんとここに来たら二人で色々思い出せるかなぁって思ってね」幼少期を思い出せるかは別として思い出しはするだろうなとは正直考えた。「ここで朱莉が亀甲縛りで吊るされてる時は正直この子は何してるんだって思ったよ」「酷いけど、振り向いてもらおうと必死だったから……結構凄いことしてた自信があるっ!」腰に腕を当ててドヤる朱莉に僕は改めて思ってしまった。「やっぱり朱莉のこと好きだな」口に出てしまったのは仕方ないと強がりながらも今回は声の裏返りがなかったことに心が躍った。こう考えられるってことは、まだ朱莉と一緒にいられると思ってもいいんだよね……不安になる。「私も好きだよ、風香ちゃん。ここでこの言葉を伝えるのってなんだか不思議な気分だね」「本当にそうだね。……僕の初恋が朱莉で良かったと心の底から思うよ」朱莉と歩いているなかで、様々な思い出が蘇ってきた。「僕の人生が彩られたのはやっぱり朱莉と出会えたからだよ。……出
最終更新日: 2026-09-12
Chapter: 閑話その16閑話その16父さんを壊すのは私なのに……先に、あの女が壊しやがってぇぇ!!「父さん、聞いてる? 私に母さんがいないのは父さんのせいだって……未だ理解していないの? 年長の私に言われるとか、馬鹿なんだね」父さんが母さんの話をする際に名前を言わない。言うのはただクソビッチとだけ……私にだって分かるっていうのに、父さんと来たら脳がないのか虐めが犯罪だということを理解していない。母さんを虐めた奴を皆殺しにするまで死ねない。せっかくもうすぐ父さんを殺す計画が上手くいきそうだったのに、先に壊されたら面白くない。たとえ母さんが帰ってこなくても、勝手に動く……趣味も兼ねているからね。「父さん、じ~っくり楽しんでね」反応つまんないな。もうすぐ小学生になるんだから年長さんの間に出来る限り楽しまないとね。良い子ちゃんの演技も大変なんだから……今なら演じなくても楽しめるってものよ!!「ギャハハハハハハハハ!!」あの女も師匠と同じ魔葬少女なのは、あの治癒力を見れば分かる。私には魔法とやらは使えないけど、師匠の眷属として……身体能力で負けるわけにはいかない。回想「魔葬少女の眷属はどうなるのかを君たちで試させてほしい。蛍ちゃんの娘と日暮さんの弟さん。日暮さんの弟さんには時間加速で君と同じ歳にするから、きょうだいとでも思ってこれから過ごしてほしい」これが師匠との出会いで真の家族との出会いでもある。弟は加速で歳を取っただけなので、記憶自体はない。師匠と弟の時間は最上で父さんなぞとは比べ物にならないほどだった。師匠の名前は時貞美里(ときさだみさと)だ。とは言っても、魔葬少女時代のという言葉はつくけれど。師匠の魔法は時の支配らしく、いつでも魔葬少女時代に戻ることや魔物という姿になることも出来るという。私は魔葬少女候補の卵と呼ばれ、弟の玲司(れいじ)は魔人と呼ばれる存在になった。師匠曰くこのことは上層部も知らないことだという。私と玲司は特別な存在なのだと……そう言ってもらえた時は生きる意味を与えてもらえた気がした。それと同時に母さんの復讐を代行出来るという慢心さえ生まれた。だがそれが計画の始まりでもあった。当時四歳の出来事である。回想終わり残りは父さんだけなのに、楽しみが潰されるなんて屈辱だ。するといつもと違う猫の姿の師匠が転移してきた。「
最終更新日: 2026-09-11
Chapter: 第五十六話第五十六話朱莉を助けるために恐怖を利用するために傷つけた人たちに謝るために家の前についた。「どうしよう朱莉……インターホンを押す指が動かない」自分の行ったことの重さを理解したが故だとしても相手からすればそんな言い訳通用しない。僕だって朱莉を傷つけられて言い訳されたら激怒するだろう。己の罪の重さに押しつぶされそうになり震える手に朱莉はそっと手を添えてくれた。「風香ちゃんだけに背負わせないから」朱莉の力強い言葉は僕の魂が震えた感覚で涙が止まらなかった。「朱莉……本当にありがとう。それと朱莉、僕が何をされても我慢してほしい」「出来る限りは頑張るけど、無理そうなら止めるからね」「その時は頼むね朱莉」ピンポーン「はーい、だ……れで」少女はインターホン越しに僕を見るなり走っていった。一分程経った時、玄関が開いた。そこで見たのはナイフを持ち、僕へ殺気を向けて涙をこぼして走ってくる少女だった。「お前のせいでぇぇぇぇ!!」その瞬間の僕には避ける選択肢はなかった。ズブ僕にナイフが刺さるなり、少女は僕を押し倒し何度も刺した。「待って、それじゃあ風香ちゃんが!!」僕は首を横に振った。「お前のせいで父さんが、おかしくなったんだ!! 私にさえ怯えて……部屋から出てこない! お前が……お前が…………」少女は冷静になったのかナイフを落とした。「……なんで、父さんなんだ。……父さんが何をしたって言うんだよ、答えてくれ!!」少女の問いかけに僕は包み隠さず話した。「……誰でも良かったってことか。それなら……なんで私たちなんだ!! 別の誰かでも良かったじゃないか……日常を返してよ」この光景に胸が苦しめられ胸の高鳴りなど一切しなかった。これは僕の……いや、今は僕と朱莉の罪なんだ。「もう二度と私たちに顔を見せないで……次に来たら絶対に許さない」結局僕たちは追い返された。そこは予想通りなんだけど、少女はなぜ僕の治療を見てなんとも感じていないんだ?あの少女のナイフは全て臓器にまで達していた。確実に殺す覚悟で刺していたにも拘わらず僕は目の前で治療しているというのに、顔色ひとつ変えていない。見た目的に六、七歳だというのに顔色ひとつ変えずに僕の目の前にいた。その事実が涙を流して僕を刺したと考えると罪の意識に苛まれてしまう。当時の僕だと…………あれ
最終更新日: 2026-09-11
Chapter: 閑話その15閑話その15最近の趣味である料理が完成した私は急いで母上に持って行きましたわ、当然転ばないようにですわよ。「母上、食べてくださいませんか? 今回の料理は上手く出来た自信がありますの!」今回は学校での調理実習も取り入れましたから美味しくなっているはずですわ。「ほんと葵はそそっかしいんだから。そんなに走らなくても私は逃げないから」母上は約束を守ってくれる、私の自慢の母ですのよ!「……どうですか? 母上に食べてほしくて練習しましたのよ」「そんなに緊張しなくても葵の作ってくれる料理は世界で一番美味しいのよ、三つ星だって夢じゃないわよ、もっと自信持ちなさい」「そっ、そこまで言われてしまっては仕方ありませんわね」嬉しいですわ、これは夢かしら……分かっていますわよ、夢じゃないことぐらい。はしたないと分かっていますが、飛び跳ねちゃいそうですわ!!「ねえ葵、一つ聞いてもいい?」母上が私に質問してくるということは、覚悟しなければなりませんわね「いつになったらお友達を連れてきてくれるの? 葵のお友達に会ってみたいの!」やはりこの質問でしたわっ!!架空の友達を作る作戦にいたしましょう「私のお友達は大人の女性なので、お仕事が忙しくなかなかお時間を作れない方なのです。もう少しお待ちいただけませんか?」もっと細かく作らなければ母上から質問が飛んできますわ!「お仕事をしているといえど有休を取ればお休みは可能なはずですけれど?」「だっ、大学を卒業したばかりの方なのでお忙しいのですわよきっと」「大学を卒業といえど会うことは出来ますよね」母上、私を心配してくださるのはいいのですが……少し顔が怖いですわよ!!「えーっと、そのですね……その方は卒業したばかりの二十四歳の方で人助けでボランティアにお時間を割くのでお会いさせるのが難しいのですわ」こっ、これならどうですか母上「そんな立派な方とお友達になったのね。だけど葵……もう少しマシな嘘をつきなさい。お母さん、分かるんだからね。いつかその嘘を本当にしてほしいのはお母さんのワガママかしらね……チラッ」「……本当にできるように努力いたしますわ」「別に努力しなくていいのよ。葵の素を見て仲良くしてくれる人ならきっと現れるから取り繕わずに正面から向かい合いなさい。葵にはその方が合ってると思うわよ」その素がなかなか出
最終更新日: 2026-09-10
Chapter: 第五十五話第五十五話魔女様に一時的に母さんを任せて僕が傷つけた人に謝り行くために魔女会から出ようとしたときに扉の前で誰かにぶつかった。「あのここが魔女会で合っているでしょうか、ミチルからここで登録すれば助けてくれると聞いたのですが」確か朱莉に秋口さんって呼ばれるきっかけになった人の名前も満だったけど、あの人の性格からして人助けなんてしないだろうし別人でしょ。登録の仕方なら僕も覚えてるから、謝りに行く前に終わらせておこう。「教えますので、ついてきてください」僕はこの人と朱莉を連れて受付に戻った。「あの、この人を魔女会に登録したいのですがいいですか?」魔女会の登録の手続きとしては書類に名前、出身、感情、魔法と最低限のことを記入する。あとは任意にはなるけれど、魔女様との顔合わせで終わるという、ものすごく簡単なものだ。これが新人でも登録は可能と言われる所以らしい。それなら新人にも教えてもらいたいものだけどと愚痴りそうになったけど愚痴ったところで契約霊が教えない状況は変わらないんだから意味がない。僕は女性が書き終えた書類を見せてもらって分かったことがある。『名前、ミカエル・ミハング・パトリシア出身、UK感情、理想魔法、自分の理想を現実にする魔法、追記他の魔法は実戦でお見せします』もしかしたら海外支部的なところから来たのかもしれないと考えてしまう僕の思考は偏見で汚れているのだと改めて実感してしまう。受付の人はある提案をしてきた。「実戦でしたらこの場にいる風香さん、朱莉さんとしてみるのはどうですか?」パトリシアさんは乗り気ではなかったらしく、魔物討伐に変えるようにお願いしていた。「そういうことでしたら、そういたします。依頼をこなすのを風香さん、朱莉さんが確認する形にいたしましょう」そこでなぜ僕と朱莉なのだろうかと疑問に思ったが、正式な魔葬少女になった際には後輩の指導をすることになる。それなら先に似たような経験をしておくのもいいのではないだろうか。「あの、なぜ僕たちなんですか?」受付の人に質問すると笑顔で答えた。「魔女様がお二人をあと一歩と評価されているのをお聞きしたので、正式になった際の予行の場として利用出来るのではないかと思いましてね。ではこれで登録は完了です。ミカエルさん依頼をお選びください」パトリシアさんが選んだ依頼は樹海での魔
最終更新日: 2026-09-09
Chapter: 最終話君色に最終話君色にそして卒業式当日教室に入ると彩那の周りの空気が重くなっており、普段は周囲に人がいる彩那の周りには誰もいなかった。私はそんな重たい空気が漂う中自らの想いを学校の中……教室の中だというのに彩那に向かって叫んだ『──私は彩那が好き──!!』当然みんなの視線は私に集中した。しかしいつもなら大勢から視線が集中した途端話を止めてしまうのだが、想いの枷が外れた私は止まることなく今まで押し殺していた想いを泣きながら叫んだ、叫び続けた。私の叫びは求愛のために美しい音色で鳴き続けるスズムシの雄とは違う……私のはお店の中だというのにお金のことで説教を大声で延々とする父の声のような醜さだ。卒業式だったこともあり何時間も遅れ先生から呼び出しを受けたが私は先生のところに行かず、説教されている時も私は叫び続けた。私はその後に呼び出しを受けたが、その相手が悪かった。その相手というのは河口先生(かわぐちせんせい)だ。河口先生は理事長の息子であることを理由に根も葉もない理由を付け生徒を退学させまくるくせに他の先生から注意一つ受けないことから生徒たちから"調子に乗ったボンボン野郎"と言われている。私はその河口先生の逆鱗に触れたのかさまざまな理由をつけられ退学処分を受けてしまった。もう彩那に会えないのかな……だって連絡先も何も聞けてないんだよ!!……そもそも今日卒業式だからすると突然コンコンと扉を叩く音が聞こえた。河口先生が開けるとそこには泣いている彩那がいた。彩那は泣きながら「あの、河口先生……愛海を退学にしないでください、お願いします……私が今まで頑張ってこられたのはかっこいい姿を愛海に見せたかったからなんです!! だから……河口先生、辞めさせるなら私にしてください、お願いします!!」と河口先生にお願いしていた。私は彩那がそう言ってくれるだけで、沈んでいた心が癒やされていく音が聞こえてきた気がした。彩那の懇願を聞いた河口先生は退学を取り消してくれた。紙をめくる音を聞いた彩那が私の背後から覗き込みながら聞いてきた。「何見てるの愛海?」「卒業アルバムだよ」「懐かしいね。もう三年前かぁ、早いね」「だよね。ねえ彩那、咲美から聞いた?」「何を?」「咲美たちも同棲することになったんだって。何かお祝い買わなきゃいけないね」「奮発しちゃおうか!! せ
最終更新日: 2026-08-31
Chapter: 第十六話本当の姿第十六話本当の姿私と彩那の学校では二年生で一旦卒業式を行い三年生では系列大学のコネクションを使い大学生活を一年間体験するというのが決まりになっている。その関係で修学旅行は一年生で行うのだ。しかし今回ばかりは去年の修学旅行が今年になってよかったと本当に思う。修学旅行が終わった私たち二年生は卒業式の準備と講義決めが待っている。「彩那はどの講義を受けるか決めてる?」私が彩那に質問するといつもの元気が嘘のように小さな声で答えた。「……保育士」その光景を見て私は彩那のことを何も知らないのではと大きな不安に押しつぶされそうになった。「……彩那?」「ごめんね、心配させたよね。夢を口に出すのが怖いの……叶わなかったらって考えたらやっぱり怖くて、失望したでしょ」「失望なんてしない!! どんな彩那でも彩那は彩那だよ、私にそう言ってくれたでしょ。私本当に嬉しかったんだよ、少しは自分を認めてもいいんじゃないかってそう思えるぐらい。お願いだから彩那一人で抱え込まないで私にも抱えさせてよ……恋人でしょ私たち」今は周りにどう思われるかより彩那に安心してほしい、その一心で言葉をかけた。「ありがとう、でもちょっと一人にさせて」彩那はその日から一週間ほど一人で帰るようになった。何度誘っても断られてしまった。どうしてと考えているうちに思い出したことがある、それは彩那は一度も私に夢の話をしていないということだ。なぜ安易に聞いてしまったのか考えれば考えるほど沼にハマるように気持ちが沈んでしまう。咲美と灯凪ちゃんとは話す彩那を見て私は……やっぱり恋人失格だったのではないかと考えていたとき「もう見ていられません!!」と橘さんの声が聞こえてきた。「どうしたの橘さん、もしかして彩那を奪いにきたの?」「そんなわけないことくらいわかりますでしょ!! ここ最近の彩那様と白本さんときたら……とっとと仲直りすればよろしいではないですか。彩那様は白本さん、貴女を待っているのですよ。親衛隊の私たちでは心の奥底までは踏み込めません、恋人である貴女でないといけないのです。必要であれば私たち親衛隊を利用して構いません……ですから彩那様の笑顔を取り戻していただけないでしょうか」橘さんは深々とお辞儀をして私に懇願してきた。私は戸惑っていると彩那との思い出が走馬灯のように駆け巡った。「橘さ
最終更新日: 2026-08-31
Chapter: 第十五話宣言した朝第十五話宣言した朝アラームが部屋中に鳴り響き目を覚ました私はすぐさま昨日の宿題を終わらせ朝のシャワーを浴びた。「……スッキリした」私がお風呂場から出ると、良い匂いがしたので周りを見ると昨日買った鮭おにぎりを食べている彩那の姿があった。その姿を見て思わず声をかけてしまった。「今おにぎりを食べて朝食を食べられるの?」「分からないけど、お腹すいちゃって」おにぎりを食べながらお腹を鳴らしている彩那を見て強くは言えなかった。「可愛い」リスのように口いっぱいに頬張る彩那を見て溢れた言葉を彩那は聞き逃さなかったようで、おにぎりを飲み込んですぐに私にハグをしてきた。「ちょっと彩那もうすぐ行かないと間に合わないよ!!」「もうちょっとだけ」抱きついてきた彩那から寝息が聞こえてきて私は焦って起こした。「……んん、それじゃあ行こっか」袖で目を擦っている彩那を見て愛おしくて仕方ないという思いでいっぱいになったが、それは恥ずかしくて口には出来なかった。そして朝食を食べるために一般のお客さんと同じエレベーターを使ってホールに向かった。エレベーターから出てからすぐにただでさえ空いたお腹がさらに空くような良い匂いが漂ってきた。私がお腹を鳴らすと彩那が喩え話をしてきた。「これって上手く言えないけどお腹空いてる時に飯テロの動画を見た時みたいなそういう時の状態みたいな感じしない?」なんとなく理解できたので、私は軽く頷いた。普段なら理解がなんとなくでも完璧に理解出来ましたみたいな雰囲気を出す。彩那相手になら少しは本心を出せるようになってきたことに私は安心感に近い感情を抱いた。「いつかはみんなにも本心で接したいな」「それでしたら私にもそう接してくれてもいいですよね白本さん」呟いてしまった言葉を後ろにいた橘さんに聞かれてしまい私はものすごく焦り戸惑っていた。「愛海は穂乃果(ほのか)ちゃんにしっかり本心で接してるよ」彩那が私を庇って答えてくれた。だけどそれだけではダメだと……私は勇気を奮い起こして橘さんに説明した。「そういうことだったらそう考えてもおかしくはないわよね。……話すの相当勇気が必要だったでしょ、話してくれてありがとう」橘さんに少しなら心を開いてもいい……のかも。「まあ彩那様を幸せに出来ないのでしたら私が奪いますけどね」「ちゃんと彩那のこと
最終更新日: 2026-08-31
Chapter: 第十四話大切な事第十四話大切な事「あれ二人こんなところでどした。というか穂乃果を見なかったか?」「さっきまで話してたんだけど、あそこの道で別れたんだ。その後は知らないかな」「そっか、ありがとな。……こりゃあ穂乃果を慰めないとだな」宮野くんはそう言って去っていった。その後私たちは先生とも遭遇した。「二人とも修学旅行楽しめてる?」私たちは大きく頷いた。先生は満面の笑みを浮かべて喜んだ。「二人とも散策するなら明日にしておいたほうがいいと思うわ」彩那がなんでと質問すると、どうやら晩御飯の時間が早まったらしくそのことを伝えて回っている最中だったとのこと。「分かりました。彩那と一緒に向かっておきます」晩御飯の時間が早まった理由はホールに着いた時にわかった。そこにいたのは今話題になっているお笑い芸人コンビのネオキシスターズだった。それを見たみんなは大騒ぎだった。「あの人たちって彩那の好きな……」「…………」彩那はフレーメン反応の猫みたいに驚いていた。「良かったね彩那」私にとって彩那に何回か見せてもらったことがある人たちという認識だけど、テレビで見た人たちが目の前にいるこの事実に結構驚いている。それ以上に驚いたのは谷崎先生の『先生が好きだから来てもらったよ』のこの言葉だった。それだけで呼べたって谷崎先生ってすごい人なのではと正直思ってしまった。ご飯を食べ終えてコントを見た私たちは部屋に戻った。「凄かったね愛海!! 写真撮っておけばよかった」彩那が悲しんでいるのを見て私は彩那の肩を叩き私の撮った写真と動画を見せた。「彩那はこういう時写真を撮り忘れることがあるから私が撮っておいた。今から送るよ」「……送らなくていいよ、だってそうしたら愛海と一緒に見れなくなるじゃん」「……そうだね」私のスマホで一緒に見るってなったら絶対顔がものすごく近いってこと分かって言ってるよね、彩那。「どうしたの愛海、顔が赤いよ。もしかして風邪!?」「大丈夫だよ。一緒に見てるところを想像したら照れてきただけだから」「そっか、照れちゃったんだ」「ニヤけないでよ、もう」彩那は私をからかいながらお風呂の準備を進めていた。「今日だけでいいから愛海も一緒に入らない?」「さすがにまだ恥ずかしい」でも学校行事でみんなで入ったりとかしたし、そう考えても……彩那と二人はまだ
最終更新日: 2026-08-31
Chapter: 第十三話二人だけの秘密第十三話二人だけの秘密「ちょっと白本さん、せっかく二人きりにしてあげたのにどうして私を呼ぶのよ!」「そのお礼なんだけど」私がそういうと橘さんは溜息を一つついて「そういうことなら彩那様の笑顔が見られれば十分よ。そういうことだから今回だけは白本さんに任せたからね、そこだけ理解してよね」そういって去っていった。「穂乃果ちゃん、ありがとねー!!」彩那がお礼を告げると橘さんはぺこりとお辞儀をした。「さて愛海どこから行く?」「そうだね、まるまる部屋って場所からにしようかな」よくわからない場所から先に行って楽しそうな場所を後で行けば後味が悪くはならないよね。まあそれも私的には彩那との思い出として残るから全然良いんだけどね。私が彩那と二人でいられること自体はすごく幸せだけど、私たち恋人らしいこと出来てない。分かっていてもやっぱり私でよかったのかと不安になる。私は部屋に向かう最中不安をなくすことを考えながら彩那と話していた。そしてまるまる部屋という場所がどういう場所なのかを理解した私は部屋に入ることを躊躇った。なぜならその部屋は『出されたお題の行動をしないと出られない部屋』だったからだ。私が躊躇っているとホテルスタッフに入れられてしまった。「お二人様ごゆっくりとお楽しみくださいね~」「えっ、ちょっと待っ……」ガシャン「楽しそうだしいいじゃん。ね、愛海」「……彩那がそう言うなら」部屋に入ってすぐのところには大きな白い箱があった。「ここに手を入れればいいのかな?」「多分。だから私が手を入れるよ」ガサゴソ「紙みたいなのが入ってる」私が手に掴んだものを取り出すとそれはお題が書いてある紙だった。「なんかこれって借り物競走みたいでドキドキするね」「……私は不安しかないよ」部屋には不安で苦笑いの私とワクワクの満面の笑みの彩那で希望と絶望が入り混じったような混沌とした空気が漂っていた。そしてお題はというと。「「濃厚なキッス!?」」「いやいやなにこれ、出ようよ彩那……えっ、本気なの」部屋から出ようとドアノブに触れたのだが。ガチャ……ガチャガチャ「開かない」「私は……してもいいけど、愛海は嫌なの?」「嫌ってわけじゃないけど」言ってもいいのかな、せっかくキスするなら良い雰囲気でしたいって。でも言って彩那に嫌われたらどうしよ
最終更新日: 2026-08-31
Chapter: 第十二話癒しの午後第十二話癒しの午後「ねえ愛海見て水族館だって行ってみようよ!!」「そんなに焦らないで彩那、先生に連絡してからにしないと……父さんみたいなのと出会わないとは限らないから。これ以上彩那に迷惑かけたくない」「別に迷惑ぐらいならかけてくれていいのに私は気にしないよ」「彩那はそうでも私は気にするの。それに私のせいでこれ以上彩那には傷ついてほしくないから」「私のせいとか言わないで」「でも……」「でもじゃない、このままだと話が終わりそうにないから入ろう愛海」彩那に連れられて私は水族館に入った。「見てみて顔ハメパネルだって一緒に写真撮ろうよ愛海」彩那はそう言って近くにいた人に写真を頼んでいた。「それではいきますよ笑って笑って、はいチーズ」カシャ「はい、写真いいの撮れたと思うよ、楽しんでね」撮ってくれた人にお礼を伝え私たちは水族館を回ることにした。「見てよ愛海オオグソクムシだって……写真では見たことあったけど、実際にみても本当ダンゴムシに似てて可愛いよね」「……私はうじゃうじゃの足と乗せた時のゾワゾワがちょっと無理(うん可愛いよね)」「逆になってるよ愛海」「私はエイが可愛いと思う」「分かる、ちょこんとした目と口とか可愛いよね」私と彩那は水族館を回った。四十五分ほど水族館を堪能した私たちが次に向かったのは水族館近くにあった猫カフェプチという場所だ。猫カフェに行くと言ったときから彩那がソワソワしてて可愛いと思ってしまった。私たちは猫カフェに行ったりお土産屋さんで咲美たちにお土産を買ったりホテルまでの時間を二人で楽しんだ。橘さんをはじめとする親衛隊の人たちの気配は感じなかったから、本当に二人きりにしてくれたんだ。あとでお礼を言っておかないといけないな。そしてホテルにて「必ず消灯時間を過ぎたら部屋から出ないこと。出たらキツ~いお仕置きが待ってるわよ~」「先生お仕置きってなんですか~」「正座って言いたいところだけど、校長先生に怒られちゃうから、先生の愚痴をずっと聞いてもらうわよ~」「先生それはただのご褒美です」「霧島くん嬉しいこと言ってくれるじゃない、ありがとね」「本心を言ったまでですから」「ほんと霧島くんって先生のこと好きだよね」「当然です。僕は先生を愛してますから」「何度も言ってるけど霧島くんと私は教師と生徒なのよ。…
最終更新日: 2026-08-31